エッセイ
2026.01.05
2026.01.06

「猫の種類は数あれど」サビ猫編

写真だけでは、その魅力を伝えきれない猫がいます。

その名は「サビ猫」。これは猫種の名前ではなく、「黒猫」や「茶トラ猫」と同じ、色柄による呼び名。黒×茶の毛色を持つ猫たちがこの名前で呼ばれています。
地味と言われがちですが、実際に暮らしを共にすると印象が大きく変わるのがサビ猫。今回はその唯一無二の魅力を紐解いてみました。

サビ猫ってどんな猫?

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サビ猫とは、黒と茶が混じった毛色の猫のこと。三毛猫から白い部分を抜いた二毛猫とも言えるでしょう。“サビ”という名前は、金属の錆(サビ)のような色合いが由来です。

海外では、独特の美しい毛色をべっ甲に例えて「tortoiseshell(トーティシェル)」という美しい名前で呼ばれています。べっ甲とは、世界中で装飾品や工芸品に珍重されてきた、ウミガメの甲羅のこと。透明感のある茶と黒の独特のまだら模様が、古くから人々に愛されてきました。

サビ猫の模様もべっ甲と同じく、自然が生み出した唯一無二のもの。黒と茶の割合も、模様の出方も1匹1匹異なっていて、同じ柄の猫は存在しません。黒が多いと「黒サビ猫」、茶が多いと「赤サビ猫」と呼ばれることも。また、中には全体が薄い色合いのサビ猫もおり、「パステルサビ猫」「灰サビ猫」と呼ばれています。

ちなみに日本ではサビ猫、べっ甲猫の他に「雑巾猫」なんて名前も。そんな名前で呼ばなくても……と思ってしまいますが、雑巾のように毎日の生活の中にあり、そばにあることが当たり前だったからかもしれません。人々の生活に昔から馴染んでいる猫だからこその、親しみがこもった飾らない呼び名とも言えそうですね。

和を代表する猫、三者三様の魅力

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三毛猫を思い浮かべると、こたつや縁側で丸くなっている光景が思い浮かびます。“和の様式美”と言いたくなるような、日本文化で育った多くの人が共通して抱くイメージではないでしょうか。

茶トラ猫なら、細い路地裏を悠々と闊歩する姿や、塀に座って縄張りに目を光らせている姿。庶民的で昭和の匂いがするイメージです。どちらも“絵になる”和の猫ですね。

さてサビ猫はというと、どうしても色合いが地味で写真映えしないこともあって、なかなか誰もが思い浮かべられそうなイメージは見つかりません。ですが、近くで見ると独特の奥行きがあるのがサビ猫の毛色。光の当たり方や明るさによって表情が変わる、何とも言えない味のある色柄なのです。

サビ猫と民藝品は似ている?

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そんなサビ猫の毛色を見ていると、民藝の器を思い出します。

“民藝”とは、名も無き職人たちが生み出した日常の生活道具の中にも、美術品に劣らない美しさがあるという考え。大正時代に柳宗悦らによって提唱された、民衆のための工芸品を評価する運動です。

パッと目を引く華やかさはないけれど、眺めているだけで心が和み、使うほどに手に馴染む。いつの間にか「これが一番落ち着く」と感じさせ、生活から欠かすことができなくなる不思議さが、民藝品の魅力です。

器であれば、たとえば少し歪んだ縁や、釉薬が厚く溜まった部分。完璧ではないからこそ、目が留まり、触れたくなる。サビ猫の毛色にも、どこかそれに似た素朴な親しみがあります。

鑑賞するために意図的にデザインされた美ではなく、暮らしの中で立ち現れてくる美しさ。サビ猫は、そんな民藝的な美をまとった猫ではないでしょうか。

オスのサビ猫は珍しい? メスが多い理由

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オスの三毛猫は縁起がいいと言われるほど、非常にレアな存在ですが、サビ猫も同様にオスが珍しい色柄です。

この理由は、三毛猫と同じ遺伝子の仕組みにあります。
と言うのも、三毛猫とサビ猫の違いは、体の一部が白くなる遺伝子の有無だけ。黒毛と茶毛に関わる遺伝子は共通しています。それが「O/o遺伝子」。「O遺伝子」を持っていれば黒は生えずに茶が生え、「o遺伝子」なら黒が生えて茶は生えません。そして両方を持っていれば、黒と茶の両方が生えるという仕組みです。

しかしO/o遺伝子は、性染色体のX染色体の上にあります。X染色体を1本しか持たないオス(XY)だと、O遺伝子かo遺伝子のどちらかだけ。しかしメス(XX)はX染色体を2本持つため、O遺伝子とo遺伝子の両方を同時に持つことができるのです。

そんなわけで、サビ猫の多くはメスなのですね。

賢くてしっかり者! 飼いやすいという声も

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サビ猫の性格について、「気が強い」「警戒心が強くて臆病」「周囲をよく観察している」と聞いたことはありませんか?

一方でサビ猫を飼ったことがある人からは、「賢くて飼いやすい」「温厚で協調性がある」「理解力が優れていて、状況に応じて行動できる」という声も。もちろんその子の個性によりますが、サビ猫はメスが多いことから、こういった印象が生まれやすいのかもしれません。

一般的にメスは、オスよりも警戒心が強く、信頼関係ができるまでは距離を縮めにくいもの。環境の変化にも敏感です。またマイペースで自立心が強く、猫らしい性格とも。賢くしっかり者で、お留守番も得意な傾向にあると言われています。

だからこそ、安心できる環境と信頼関係ができれば、人にも他の動物にも友好的に接してくれるように。さらに絆が深まれば、飼い主には人懐っこく甘えん坊な一面も見せてくれるかもしれませんよ。

 

流行よりも、自分の心が惹かれる存在を

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すぐには心を開かない代わりに、一度強い絆で結ばれれば、じっくりと心を預けてくれるサビ猫。写真ではなかなか伝わりにくい美しさと、唯一無二の色柄は、他の猫にはない個性です。

民藝品は、流行を追って探すものではなく、ふと出会ったときに「これだ」と心が惹かれるもの。こちらが一方的に“選ぶ”というより、“縁に引き寄せらえる”ようなところがあります。サビ猫もそんな風に、思わぬタイミングで出会う存在なのかもしれません。

第一印象では選ばれにくいかもしれませんが、一緒に暮らしていくうちに、どんどん印象も評価も変わっていくのがサビ猫。その性格からも、穏やかな暮らしを共に送れる、愛情深い家族になってくれることでしょう。

まとめ

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