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野良猫は何食べてる?与えていい食材・悪い食材をしっかり学ぼう!

野良猫を見かけたとき、何を食べているのか疑問に思ったことはありませんか。猫が好きな方の中には、エサをあげたいけれど迷惑になるのではと不安で躊躇している方もいるかもしれません。野良猫が何を食べているのか、また野良猫にエサをあげるメリットやデメリットについて解説します。
野良猫は何を食べているのか?

野良猫は外を自由に歩き回っているため、さまざまな獲物を捕えることがあります。郊外では虫や小動物を自力で捕まえることもありますが、街中ではゴミ捨て場をあさったり、エサやりをしている人からキャットフードをもらったりする姿もよく目にします。
特に冬の寒い時期になると、自然界での食糧が減るため、食べ物を探すことは容易ではありません。多くの場合、残飯や人が置いてくれるフードに頼らざるを得ない野良猫も少なくありません。人の生活圏に寄り添うようにして生きているからこそ、野良猫は人間から食べ物を得ているといえます。
自然界で捕食している小動物
猫の先祖は肉食性のハンターです。体は小さくても、ネズミやモグラ、スズメやハトなどの鳥を本能的に狙う習性があります。また、草むらや公園の片隅でコオロギやバッタなどの昆虫を捕まえる姿も見かけます。こうした自然界の食事は動物性たんぱく質を得るうえで理にかなっているともいえますが、寄生虫や病気をもらうリスクも否定できません。
捕まえる小動物の種類や数は、その猫が暮らす環境によって左右されます。郊外の畑や草地ではネズミや虫などを頻繁に捕獲できる一方、都市部のコンクリートジャングルでは獲物を見つけづらいため、別の手段で食糧を確保せざるを得ないケースが多いのです。実際、保護した猫の中には痩せこけて体調を崩しているものも多く、十分な栄養が得られていないことが一因と考えられます。
人間の残飯やキャットフード
街中を見渡すと、飲食店のゴミ捨て場の周辺をうろうろしている野良猫を見かけることがあります。そこには人間が捨てた弁当の食べ残しなど、比較的手に入りやすい食糧があるからです。また、キャットフードを与える方もおり、そのエサやりによって空腹を満たしている野良猫が大半だと考えられています。
特に厳しい冬の時期は狩りが一層難しくなるため、ゴミ捨て場や人間が与えるフードに依存しがちです。これは猫が生き延びるためには仕方のない行動ともいえますが、周辺住民の中にはエサやりを望まない人もいるため、地域によってはトラブルの原因になっています。
野良猫にエサを与えるメリット

野良猫へのエサやりには賛否両論がありますが、空腹の猫を助けることや、猫の存在が地域住民のコミュニケーションを活発にするといったメリットもあります。また愛護動物である猫に優しい気持ちでエサをやるという行為は間違ったものではなく、少し手を差し伸べるだけで野良猫にとっては大きな助けになるでしょう。
また、近年では「地域猫活動」という取り組みが全国各地で行われています。保護団体やボランティアの方々が中心となり、エサを与えるだけでなく、避妊・去勢手術やワクチン接種を行うことで、猫と人が共に幸せに暮らせる環境を目指す事例が増えてきました。
栄養不足を補い健康を維持できる
野良猫は日々、エサの確保や縄張り争いで体力を消耗しています。十分な栄養が摂れずに体調を崩している猫を保護した場合、目やにや皮膚病など、体のあちこちにトラブルが見られることがあります。こうした猫に適切なエサを与えると、数日から数週間で体重が増え、毛並みがきれいになるなど、目に見えて健康が回復するケースも多く見られます。
とはいえ、野良猫にただ無差別にエサを与えるだけでは十分とはいえません。特定の場所に定期的にエサを置き、食べ残しはすぐに回収し、周囲の清潔をきちんと管理することが重要です。こうした管理を徹底することで、周囲の理解を得られやすくなり、猫が安定して栄養を摂ることができます。
地域社会との共存がしやすくなる
エサやりをする人と野良猫を敬遠する人が同じ地域に暮らしていると、意見の対立が起こりがちです。しかし、正しいルールを守ったエサやりと避妊・去勢手術をセットで実施することで、糞尿や繁殖数の問題を抑えられ、結果として猫に関するトラブルを減らすことができます。
実際、ある地域ではボランティアの方々がTNR(捕獲/避妊・去勢手術/元の場所に戻す)活動を徹底し、決まった場所と時間にのみキャットフードを与えています。その結果、数年後には野良猫の数が安定し、猫に関する苦情も減ったそうです。このように、人と猫が共存するための取り組みは、地域全体の暮らしやすさにも直結していきます。
【関連記事】TNR活動とは?さくら猫やメリット・実施手順とあわせて解説! | ジャーナル | ピースニャンコ
野良猫にエサを与えるデメリット

野良猫にエサを与えることは、猫の命を救う手助けになる一方で、周辺住民とのトラブルや猫自身の健康リスクを増大させる懸念もあります。とくに、マナーを守らずにエサを置きっぱなしにすると、公衆衛生に悪影響を及ぼす原因となり、人間社会との摩擦を引き起こしかねません。
また、十分な知識がないままエサやりだけを継続すると、猫の繁殖を助長し、結果的に野良猫の数が増え、苦情や不幸な事故を招く可能性があります。デメリットをしっかり理解し、地域との調和を図る取り組みを行うことが重要です。
近隣トラブルの原因になる
エサを放置すれば、カラスやハエなどほかの害虫・害獣を呼び寄せる可能性があります。さらに、片づけを怠ると悪臭の原因にもなりかねません。夜中に猫同士がケンカして大きな鳴き声を立てれば、周辺住民は睡眠を妨害されて迷惑を被るでしょう。
また、エサやりをする人を好ましく思わない住民からは、「勝手に野良猫を増やしている」と抗議を受けるケースもあります。こうしたトラブルがこじれると、最悪の場合、猫に危害を加えようとする人が出てくるリスクもあります。人も猫も安全に暮らせるようにするためには、エサやりの方法や地域全体への説明・話し合いが不可欠です。
【関連記事】野良猫への餌やりは違法?気を付けるべきポイントや猫を救うための活動を紹介 | ジャーナル | ピースニャンコ
感染症リスクや繁殖問題
野良猫同士が密接に生活していると、猫風邪や猫エイズ、猫白血病などの感染症が広がりやすくなります。栄養状態が悪い猫ほど免疫力が低下し、重症化しやすいことも懸念されます。また、エサが安定して得られる環境があるにもかかわらず、避妊・去勢手術が行われていない場合、猫たちは着実に繁殖を続けます。
その結果、増えすぎた猫に十分なエサが行き渡らず、飢餓状態や病気が拡大する負の連鎖に陥る可能性が高まります。このように繁殖コントロールの重要性を理解せずにエサやりだけを続けると、猫だけでなく人間にとっても不幸な事態を招く恐れがあります。
正しいエサやりの方法とは?

野良猫にエサを与えるなら、猫の健康と周囲への配慮を両立させる方法を知っておく必要があります。具体的には、「与えてよい食材・与えてはいけない食材を知る」「決められた時間と場所で与える」「後始末をきちんとする」など、いくつかのポイントが挙げられます。
さらに、エサだけでなく清潔な水を用意することも大切です。特に暑い夏や寒い冬は水不足になりやすく、脱水症や低体温症のリスクが高まります。どんなフードを選ぶのか、どのように水を置くのかといった小さな気配りが、猫にとっては大きな支えになるのです。
与えてよい食材を把握する
猫は基本的に肉や魚など、動物性タンパク質を主食とする生き物です。市販のキャットフードは猫が必要とする栄養素をバランスよく含んでおり、最も安心して与えられるといえます。総合栄養食のウェットフードを時々与えることで、水分補給を兼ねることも可能です。
一方、人間の残飯や脂っこいおかずをそのまま与えると、消化不良や塩分過多のリスクが高まります。猫に合った食材を選び、必要な栄養をしっかり補給させることが健康維持のカギとなります。
安全なキャットフードの選び方
キャットフードにはさまざまな種類がありますが、野良猫に与える場合は高品質なタンパク質を使用した製品を選ぶのが望ましいとされています。具体的には、パッケージの原材料欄の最初に「鶏肉」や「魚肉」といった動物性タンパク質が記載されているものを目安にすると良いでしょう。穀物の比率が少ない製品や、添加物の少ないフードを選ぶのもポイントです。
ただし、コスト面から安価なフードを選びたいという気持ちも理解できます。与える猫の数や頻度が多いほど費用はかさみますので、最低限「総合栄養食」であるかを確認し、猫が健康を維持できる栄養素を含んでいるかチェックすることをおすすめします。
水をしっかり与える大切さ
「猫はあまり水を飲まない」というイメージがあるかもしれませんが、実は清潔な水の確保は非常に重要です。外で暮らす猫の場合、特に冬場は、川や水たまりが凍ったり汚れたりしていて十分に飲めないこともあり、脱水が続くと腎臓への負担が大きくなります。
エサやりの際に一緒に新鮮な水も用意してあげてください。夏場はこまめに水を入れ替えて冷たさを保ち、冬場は容器が凍っていないか確認するなど、少し気にかけるだけで野良猫にとって大きな救いとなります。
与えてはいけない食材を知る
猫の体にとって有害な成分を含む食材はいくつかあります。代表的な例として、玉ねぎなどのネギ類、チョコレート、カフェイン、ブドウやレーズンなどが挙げられます。ネギ類は猫の赤血球を破壊する成分を含み、チョコレートに含まれるカフェイン成分は中毒症状を引き起こす可能性があります。
また、塩分や脂肪分の高い人間の食べ物も猫には不向きです。「少しだけなら大丈夫」と思って与え続けると、肝臓や腎臓への負担が重なり、病気にかかりやすくなる恐れがありますので注意しましょう。
時間帯と場所の配慮をする
夜遅い時間や早朝にエサやりをすると、近隣住民が眠っている時間帯に猫が集まってしまい、鳴き声やケンカが起きやすいといわれています。できるだけ人目につきやすい時間帯に、限られた場所で与えることで、トラブルを回避する一助となるでしょう。エサを食べ終わったあとの食器やゴミはきちんと片づけ、清潔にしておくことも忘れないでください。
また、周囲に住む人に一言伝えておくだけでも、「どこで誰がエサをやっているのかわからない」という疑念を減らせます。地域のルールや管理者の許可を得て、決まったエリアで計画的にエサを与える姿勢が信頼関係を築くうえでも重要です。
野良猫の健康を守るには?

野良猫の多くはワクチン接種などの医療ケアを受けていないため、病気にかかるリスクが高い状態です。また、過酷な環境を生き抜く中で体力を消耗し、ケガや低体温症で衰弱していることも珍しくありません。少しでも健康を保つために、適切なエサや水の提供、休める場所の確保などを検討してみるとよいでしょう。
特に冬の寒さは猫にとって大きな脅威です。暖をとるために車のエンジンルームに潜り込み、エンジンをかけた際に巻き込まれる事故が起こりやすい季節でもあります。猫たちが安全に冬を越せるよう、ひと声かけてからエンジンを始動したり、簡易的な小屋を用意したりといった配慮が求められます。
想定される病気と対策
野良猫がかかりやすい病気としては、猫エイズや猫白血病ウイルス感染症、カリシウイルスによる猫風邪などが挙げられます。これらは血液や唾液を介して伝染しやすく、激しいケンカによる咬傷や、エサ皿・水皿の共有を通じて感染が拡大することもあります。
予防策としてはワクチン接種が効果的ですが、野良猫すべてに定期的なワクチンを打つのは現実的に難しい面もあるでしょう。保護できるタイミングがあれば、動物病院で健康診断を受け、必要に応じてワクチンを検討するのが理想です。すべての猫に行き渡らなくても、少しずつ対策を進めることで蔓延を抑えられる可能性があります。
冬の寒さ対策
寒い時期になると、猫同士が寄り添って体温を保つ「猫団子」と呼ばれる光景が見られます。また、暖を求めて車のエンジンルームや倉庫の片隅に入り込むことも珍しくありません。私たちにできる簡単な工夫としては、発泡スチロールや段ボール、衣装ケースなどを使った簡易的な猫用ベッドを作り、なかに毛布やタオルを入れてあげる方法があります。
こうした暖かい寝床があるだけでも、厳しい寒さをしのぐ助けになるのです。地域によってはボランティアが複数の簡易小屋を設置し、野良猫が安全に休める場所を確保している例もあります。すべての猫を完全に守るのは難しいかもしれませんが、ほんの少しの配慮が猫の生存率を高めるでしょう。
保護や飼育を考えるときのポイントとは?

もし野良猫を保護して飼いたいと考えたら、いくつか押さえておきたいポイントがあります。猫は警戒心が強い動物なので、いきなり捕まえようとすると激しく抵抗し、噛まれたり引っかかれたりする可能性があります。そのため、徐々に慣らしながら信頼関係を築くステップが必要です。
また、保護した後も飼育環境や費用、家族構成などを踏まえて、長期的に責任を持って育てられるかをよく検討しなければなりません。TNR活動や新しい飼い主探しといった選択肢も考慮しながら、猫にとって最適な道を探りましょう。
最後に、その猫が野良猫なのか、飼い主がいるけれど屋外で自由に過ごさせているのかを見分ける必要があります。保護したい猫がいる場合は、近隣住民に声をかけて飼い主の有無を確認することを忘れないでください。
【関連記事】『捨て猫』を保護する方法は?見つけたらまずすべき5つのこと | ジャーナル | ピースニャンコ
保護する前に知っておきたいこと
野良猫は人を警戒していることが多いため、いきなり近づいて捕まえようとすると逃げられてしまう、あるいは驚いて攻撃的になる場合があります。捕獲器やキャリーケースを使用し、なるべく猫がパニックにならないよう工夫すると事故が減ります。慣れていないと難しい場合は、地域のボランティアや保護団体に相談するとアドバイスがもらえる場合もあります。
保護した直後は、動物病院で健康診断を受けることをおすすめします。ケガや病気の有無を確認し、必要に応じて駆虫薬やワクチン接種などを行いましょう。最初の段階でしっかりケアすることで、猫自身の健康だけでなく、すでに飼っているペットや家族の健康リスクも軽減できます。
飼育に必要な準備や手続き
野良猫を家に迎えると決めた場合、まずは猫用トイレや爪とぎ、食器、寝床などをそろえましょう。トイレは本能的に使える猫が多いものの、環境に慣れないうちは粗相しやすいので、最初はトイレシートを敷き詰めたり、部屋の各所に複数のトイレを用意しておくと安心です。また、丈夫な爪とぎを複数設置することで、壁や家具を傷つけられるリスクを減らせます。
行政手続きとしては、自治体によって飼い猫としての登録や届け出が必要な場合があります。地域のルールを確認するとともに、ワクチン接種を定期的に行うことで、病気の予防につながります。こうした準備や手続きを「面倒」と感じるかもしれませんが、猫との暮らしを続けるうえで大切なステップです。
まとめ:野良猫へは適切な方法で手を差し伸べよう
野良猫は小動物や虫だけでなく、人間の残飯やキャットフードなど多様なものを食べ、特に冬場は食糧不足で体調を崩しやすい傾向にあります。エサを与える行為は一見優しさのように思えますが、周辺住民とのトラブルや猫自身の病気・繁殖リスクを高める可能性もあります。
避妊・去勢手術やTNR活動、必要に応じた保護や新しい飼い主探しを行うことで、猫と人間の双方にとって安心できる環境を整えることができます。野良猫を見かけたら、正しい知識をもとに清潔さとマナーを守りながら、適切な方法で手を差し伸べてみてはいかがでしょうか。
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