エッセイ
2024.11.12
2024.12.27

モデルになった「ぼたん」の物語

ピースニャンコの取り組みを知っていただくためのフライヤーに、飼い主さんの膝の上でリラックスした姿を見せている1匹の猫、ぼたんちゃんがいます。まだ胎盤がついた状態で兄弟たちと一緒に保護され、「何日生きられるか分からない」と獣医師さんから言われたこともありました。今回は、ぼたんちゃんのストーリーをご紹介します。

近所の車のボンネットの中で、早朝に猫が子供を産んだとのこと。はいずるようにして様子を見ると、確かにエンジンルームの隙間に何かがいる。胎盤もついたままの仔猫が3匹見えました。

いろいろ相談した結果、母猫が戻って来ないとのお話だったので生後数時間の仔猫たち、ひと回り大きい茶のシマシマ1匹と小さな黒猫2匹が我が家にやってきました。

※ 仔猫を見つけた際は、基本的にはその場に置いたまま母猫が戻って来るのを待つ方が良いと言われています。母乳から栄養や免疫を得るところを人工ミルクで育てるのはかなりリスクが高いのです。ただし、放置すると危険な場合には保護せざるを得ないケースもあります。また、母猫を捕獲して不妊手術をしないとまた仔猫を産んでしまうので、あわせて行うことが求められます。

 ミルクボランティアをするのは2回目だったので、改めて詳しい人に聞いたり調べたりしながら、仔猫たちにミルクを2〜3時間おきに飲ませました。どれだけ飲んだか記録しつつ排泄の状況もメモして成長の具合をみるのですが、はじめは元気にミルクを飲んで安心していたのに、飲んでも飲んでも体重が前回より減っている…という状態でどんどん弱っていきました。

もちろん動物病院にも連れて行ったのですが、小さすぎて薬も点滴もできる状態になく、とにかくミルクを飲ませて後は運に任せるしかないと獣医師さんから言われました。黒猫たちも頑張ったのですが、2日目の夜と5日目の朝に力尽きてしまいました。母猫の初乳を飲んでいない仔猫は免疫が弱く抵抗力がないので、小さな命を育てるのは本当に難しい。なんとか生き残った1匹も体重が全然増えなかったり、ミルクをあげても飲まなかったり…まだまだ予断を許さない日が続きます。分かっていましましたがかなりの労力を使います。なんとかこの子だけでも元気に育ってくれるといいな。

我が家の先住ワンコは元保護犬で、うちへ来る前に出産経験があったようなので試しにそばに仔猫を置いてみると、お股をぺろぺろ舐めたり鼻で向きを変えてあげたりして、お腹で温めてくれています。仔猫も安心するのか、気持ち良さそうに愛犬の乳首を咥えています。人間が見ている時しか任せられませんが、いてくれて助かりました。

ミルクが飲めないことにはどうにもならないのであとは本人の気力次第。そんな様子に一喜一憂しながら夜中に何度も起きてお世話しています。

もうすぐ生後2週間。まだまだ弱々しい体つきです。標準よりかなり遅いペースの成長のようです。ミルクを飲む量が少ないうえ、飲んだものも体に吸収されずに殆ど出てしまう状態で、獣医さんからは「何日ももたないかも」と言われ、最後の手段として炎症止めと抗生剤の注射をしてもらいました。
注射が効いたのか飲めるミルクの量もだんだん増えてきて声も大きくなってきました。

このままどんどん大きくなってくれ〜〜

育てるのに苦労したので情が湧いた、心配で手放せなかったなど理由は様々ありますが、長年一緒に暮らした愛犬がこの3匹を保護する直前に亡くなったので、我が家にもう一匹家族が増えても大丈夫かなと考え、「ぼたん」と名前をつけて愛猫に迎えました。「育ての母」とは今も仲が良く、一緒に過ごしています。

保護猫たちには、それぞれのストーリーがあります。

ニャンコのために活動している多くの保護猫ボランティアの方達に、ピースニャンコは、協力していきます。

 

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