保護猫ってどんな猫?
2025.07.11
2025.07.15

繁殖猫とは?役割から引退後の暮らしまで解説!

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ペットショップやブリーダーから購入する子猫の裏側には「繁殖猫」の存在があります。血統書付きの純血種や特徴的な猫種を生産するために、ブリーダーのもとで飼育される親猫たちの生活はあまり知られていません。本記事では、繁殖猫の役割から引退後の状況まで詳しく解説します。

この記事を読むと分かること

繁殖猫とは?基本的な定義と役割

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繁殖猫とは、ブリーダーやキャッテリー(猫の繁殖施設)で子猫を産ませるために飼育されている親猫のことです。主に血統や特徴を次世代に継承するために選ばれた猫で、オス猫(種オス)とメス猫(繁殖メス)があります。メス猫は妊娠・出産を繰り返し、オス猫は交配のためだけに飼育されることが多いです。

ブリーダーにとって繁殖猫は事業の要であり、良質な子猫を生み出すために血統や健康状態、性格などを考慮して選ばれます。健全な繁殖活動では、猫の健康と福祉を第一に考えた繁殖が行われるべきですが、利益優先の場合には過度な繁殖が行われる場合もあります。

純血種の猫を家庭で飼いたいと考える場合、その裏側にいる繁殖猫の状況にも目を向けることが、責任ある選択につながります。

繁殖猫の生活環境とブリーダーの役割

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繁殖猫の生活環境はブリーダーの方針や施設の規模によって大きく異なります。理想的な環境では、繁殖猫も家族の一員として室内で暮らしていますが、多くはケージや専用の部屋で過ごします。

ブリーダーの主な役割は、繁殖猫の健康管理です。定期的な健康診断やワクチン接種、栄養バランスの取れた食事の提供、発情期の適切な管理と計画的な交配、さらに妊娠中や出産後の母猫の特別なケアなどが含まれます。

良質なブリーダーは、単に子猫を生産するだけでなく、遺伝性疾患のリスクを最小限に抑えるための血統管理や、性格を考慮した交配計画を立てています。

健全な繁殖環境と問題のある環境の見分け方

健全な繁殖環境には、清潔で広々とした生活空間、適切な温度管理と換気、人間との触れ合いによる社会化の機会、猫の状態に合わせた質の高い食事、そして定期的な健康診断と予防医療が整っています。

一方、不衛生で悪臭が漂い、ケージが汚れたまま糞尿も掃除されていない環境や、猫を過密に収容している状況は要注意です。被毛の乱れや目やに、咳など健康状態が悪い猫が多かったり、極端に怯えたり攻撃的になる行動異常が見られる施設も警戒すべきです。さらに、見学を拒否したり質問に曖昧な回答しかせず、相場より異常に安い価格を提示する場合も危険信号となります。こうした兆候が複数重なる場合、その繁殖業者は問題がある可能性が高いです。

繁殖猫に関する法律と規制

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日本では2019年の動物愛護管理法改正と2021年6月施行の動物取扱業における犬猫の飼養管理基準により、繁殖事業者に対する規制が強化されました。主な規制内容は、メス猫の繁殖年齢制限(6歳まで、条件付きで7歳まで)、個体ごとに必要な最低限のスペース基準の設定、繁殖に関する獣医師の診療・助言の義務付け、帝王切開は獣医師が行い記録を5年間保存する義務などです。

これらの規制は動物福祉の向上を目的としていますが、法規制だけでは完全な解決は難しく、消費者の意識も重要です。

引用:
環境省_令和元年に行われた法改正の内容 [動物の愛護と適切な管理]
動物取扱業における 犬猫の飼養管理基準の解釈と運用指針

改正動物愛護法の影響

改正動物愛護法の影響としては、繁殖回数・年齢の明確な制限による過度な繁殖の防止、施設環境基準の強化による飼育環境の質の向上、健康管理規定の具体化、基準を満たせない業者の淘汰による業界の健全化、そして法施行前後の引退猫対応の課題の顕在化が挙げられます。

法改正により、繁殖猫の寿命や健康に配慮した適切な引退時期が法的に定められ、不適切な飼育環境での繁殖が制限されることになりました。

繁殖猫の健康管理と繁殖サイクル

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繁殖猫、特にメス猫は一般の飼い猫とは異なる健康リスクを抱えています。メス猫の繁殖サイクルは一般的に、発情期(主に春から秋)、交配、妊娠期間(約63日間)、出産・授乳期(約2ヶ月)、そして回復期という流れを辿ります。

健全な繁殖活動では、出産と次の妊娠の間に十分な回復期間を設けることが重要ですが、利益優先の場合はこれが省略されることもあります。

繁殖活動には

  • 栄養不足と体力消耗(妊娠・授乳による大きなエネルギー消費、連続出産による疲労蓄積)
  • 生殖器系の問題(子宮内膜炎や子宮蓄膿症のリスク増加、出産合併症)
  • 精神的ストレス

などの健康リスクがあります。

繁殖猫の健康を守るためには、各繁殖ステージでの定期的な健康診断、繁殖状態に合わせた栄養管理、適度な運動と十分な休息の確保、そして繁殖回数の制限が必要です。

繁殖引退猫とは

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繁殖引退猫とは、ブリーダーのもとで繁殖活動に使用されていたものの、年齢や健康状態、法規制などの理由により引退した猫のことです。引退の主な理由には、法定年齢(6〜7歳)に達した、妊娠・出産に問題が生じるようになった、遺伝性疾患が判明した、母性本能の弱さなど性格上の理由、市場需要や経営方針の変化などがあります。

理想的な引退時期は個体差がありますが、一般的には4〜5回程度の出産を経た時点、または5〜6歳頃とされています。

引退後の選択肢

繁殖を終えた猫の行き先は大きく四つあります。ブリーダーが終生飼育すれば環境変化がなく安心ですが、多頭飼育では難しい場合もあります。一般家庭へ譲渡すれば新しい家族と第二の猫生を歩めますが、環境変化のストレスは避けられません。保護団体へ託せば専門ケアと適切な新しい飼い主探しが期待できますが、シェルターでの多頭飼育では集団生活による負担が生じることもあります。血統価値が高い猫は他ブリーダーのサポート役になる例もありますが、再度の環境変化に注意が必要です。猫の性格や健康、年齢を見極め、最も幸せになれる選択を検討することが大切です。

繁殖引退猫を家族に迎えるには

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繁殖引退猫と出会う主な経路は、ブリーダーからの直接譲渡(ウェブサイトやSNSでの新しい飼い主募集)、保護団体やシェルターを通じた譲渡、引退猫専門の譲渡会やイベントなどです。

譲渡費用は通常、健康診断や避妊・去勢手術、ワクチン接種などの基本的な医療ケア費用として数万円程度ですが、無料から10万円以上まで幅があります。

引退猫を迎える前には、基本的な猫用品の準備と、安心して過ごせる環境の確保が重要です。かかりつけ獣医師を決め、初回健康チェックの予約をしておくことも推奨されます。

繁殖引退猫との暮らし方

繁殖引退猫を家族に迎えることには、成熟した猫なので性格が安定し家族との相性を判断しやすい、子猫特有のいたずらや破壊行動が少ない、健康状態の予測可能性が高いなどのメリットがあります。また社会的意義として、子猫を産み育ててきた猫に第二の猫生を提供する価値があり、経済的にも純血種を比較的リーズナブルな費用で迎えられる場合があります。

引退猫との暮らしでは、環境変化への適応をサポートするため最初はケージ内、そして一部屋から始め徐々に行動範囲を広げること、猫のペースを尊重して焦らないことが重要です。適応期間は一般的に、最初の1週間は警戒期、2〜4週間目は探索期、1〜3ヶ月で定着期、3〜6ヶ月で安定期と徐々に進みます。

また、生殖器系の健康管理(避妊・去勢手術の実施)、年齢に合わせた栄養管理、これまでの出産や子育ての経験で体や心に残っている影響への配慮など、特有の健康ケアも必要です。

責任ある繁殖活動と動物福祉

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理想的な繁殖活動には、猫の健康と福祉の優先、遺伝的健全性の確保、計画的な繁殖プログラム、引退後の責任ある対応が必須です。

信頼できるブリーダーを選ぶポイントとしては、

  • 飼育環境の透明性(施設見学の受け入れ、質問への誠実な回答)
  • 健康管理の徹底
  • 子猫期からの計画的な社会化プログラム
  • 譲渡後のサポート体制
  • 引退後のプラン
  • 法令遵守

などが挙げられます。

繁殖猫の福祉向上のために一般市民ができる貢献としては、責任あるブリーダーからの購入、引退猫の新しい飼い主になること、啓発活動への参加、法規制強化の支持、保護団体の支援などがあります。

ピースニャンコのチームメンバーの中には、廃業したブリーダーから繁殖猫を引き取り、譲渡している団体もあります。繁殖引退猫との出会いを検討される方は、家族を待っている猫たちをチェックしてみてください。

【関連ページ】保護猫を探す|ピースニャンコ

まとめ:繁殖猫について知っておくべきこと

繁殖猫とは、ブリーダーのもとで子猫を生産するために飼育されている親猫で、その環境や福祉状況はブリーダーによって大きく異なります。繁殖引退猫は年齢や健康状態などにより引退した猫で、新しい家庭に迎えることで第二の猫生を提供できる意義ある選択肢です。猫を家族に迎える際は、子猫だけでなく繁殖引退猫を含む保護猫という選択肢も検討し、責任あるペット選びを心がけましょう。


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