外にいる猫を勝手に飼うのはダメ!注意点や飼いたい際の準備まで紹介!

屋外にいる猫に興味を持っているものの、そもそも野良猫なのか、地域猫なのか、もしくは飼い猫なのかがわからない場合も多いでしょう。また、飼うにあたってどんな準備や手続きが必要になるのかがわからず、不安を感じている方も多いかと思います。
野良猫と地域猫との違いはもちろん、法律や自治体のルール、費用負担や近隣トラブルなど、気になることはいくつもあります。この記事では、屋外にいる猫を迎えるまでの準備や注意点をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
地域猫は飼ってもいいのか?

「かわいそうだから」「なついているから」という理由で、地域猫を個人の飼い猫として迎え入れたいと考える方もいるかもしれません。
しかし、地域猫はそもそも“地域全体で見守る”ことを前提にしており、勝手に連れて帰って飼うことは推奨されていません。
地域猫の基礎知識

地域猫の基礎知識のポイントは以下のとおりです。
- 地域猫とは
- 地域猫と保護猫の違い
- 地域猫と法律・自治体のルール
上記のポイントを以下でそれぞれ解説します。
地域猫とは
地域猫とは、野良猫の繁殖やトラブルを抑えるため、地域ぐるみで世話や管理を行っている猫のことです。具体的には、不妊手術を実施したうえで、決まった場所と時間に餌やりを行い、トイレや清掃も含めて地域の人たちが協力しながら世話を続けている猫たちのことを指します。
野良猫が好き勝手に行動してしまうと、ゴミを荒らしたり、鳴き声で夜間の騒音を引き起こしたりと問題が起こりやすくなりますが、地域猫としてしっかり管理することで、猫が安心できる環境を作りつつ周囲への負担を軽減しているのです。こうした地域猫活動は、全国の自治体やボランティア団体でも広がりを見せていますが、まだまだ十分に周知されていないところもあり、今後さらなる正しい情報の拡散が必要となります。
地域猫と保護猫の違い
地域猫が住む場所は、いわば「地域そのもの」です。屋外で暮らしながら定期的に餌やりや清掃をしてもらい、不妊手術を受けて繁殖をコントロールされているのが特徴です。一方で、保護猫はボランティアや団体などによって保護され、室内飼いを前提に新しい飼い主へ譲渡されることが多いという点で異なります。
地域猫は、あくまで“地域の猫”として地域住民や自治体が協力して管理しており、最終的に個人が正式に「飼い主」となるわけではありません。しかし、なかには心を許した猫を自宅に迎え入れたいと思い、地域猫をペットとして引き取るケースもあります。こうした境界線はあいまいに感じられるかもしれませんが、いずれにせよ飼い主となる以上は責任が発生します。自宅に猫を迎え入れたいと考えている方は、地域猫と保護猫の違いを理解してから行動することが大切です。
地域猫を飼う準備と手続き

地域猫を飼う準備と手続きを進めるには、初期費用の把握や継続的コスト、飼育環境の整備、近隣トラブル防止策を検討することが大切です。以下でそれぞれ解説します。
必要な初期費用と継続的なコスト
屋外にいる猫を自宅に迎える場合、まず考えておきたいのが費用面です。完全な飼い主となる以上は定期的に動物病院へ連れて行き、猫の健康を維持することが求められます。最初に家へ迎え入れる際は、外部寄生虫・内部寄生虫の駆除や、その猫の健康状態を把握するための健康診断が欠かせません。
また、定期的なワクチン接種などの各種予防や健康診断を受けさせるには、年間数千円から数万円ほどかかることも想定したほうがよいでしょう。さらに、毎日の餌代やトイレ用品代、急な病気やケガで動物病院を利用する場合には、想定外の出費もあり得ます。野良猫の避妊・去勢手術については自治体やNPOが行っている助成制度が利用できるケースもあるので、事前によく調べましょう。家計の中で無理なく猫のための出費が負担できるかどうかを検討しておくことが大切です。
飼育環境の整え方と近隣トラブル防止策
屋外を拠点としていた猫を室内に迎え入れる場合、猫が上下運動ができる環境と安全で落ち着ける空間作りをすることが欠かせません。室内にキャットタワーや隠れ家スペースを作っておけば、猫がストレスを感じたときや人の目を避けたいときに自分の居場所を確保できます。
トイレや餌場は、人の動線を遮らない静かな場所に置き、清潔な状態を保ちましょう。特に共働きや子育て中の家庭では、誰が餌やりやトイレ掃除を担当するのかを明確にしておくと管理がしやすくなります。近所とのトラブルを防ぐためにも、屋外に出すことは控えましょう。
また、糞尿や猫砂の後始末をきちんと行うことが求められます。マンションや集合住宅の場合は、ペット飼育に関する管理規約をチェックし、飼育可能な条件や頭数、クレームが出た場合の対応策などを事前に確認しておくとより安心です。
地域猫を長く飼うためのステップ

地域猫を長く飼うためのステップは以下のとおりです。
- 継続的な健康ケアと獣医師との連携
- 飼育環境の整備
上記のポイントについて詳しく解説します。
継続的な健康ケアと獣医師との連携
地域猫だった猫は、屋外で暮らしていた影響で体内外の寄生虫や感染症のリスクが高い場合があります。健康状態をしっかり把握するためには、まず動物病院で健康診断を受け、ワクチン接種や寄生虫予防などのプログラムを組んでもらうのがおすすめです。
特に体力の低い猫や子猫の場合は、こまめに獣医師と連携しながら日々の様子を見守ることで、大きな病気を未然に防ぎやすくなります。何かあってから慌てるのではなく、定期健診や予防の段階でしっかり向き合うことが、猫を長生きさせるうえで重要なポイントです。
飼育環境の整備
最初は屋外生活に慣れていた猫が、急に家の中で生活をするようになると、ストレスを感じてしまう場合もあります。慣れるまでは、静かな部屋にケージやベッドを用意して、猫が落ち着ける空間を確保するとよいでしょう。
外が見える窓辺に寝床を作ってあげれば、外の景色を楽しめるため、完全室内飼いでも多少の気晴らしができます。落ち着いたら家の中を少しずつ自由に歩かせ、危険なものがないか、誤飲しそうなものが落ちていないかをチェックしましょう。
室内でも怪我をする可能性はゼロではありませんし、家具の隙間に入り込んで出られなくなることもあります。そうしたリスクを取り除くためにも、猫が生活する空間を事前にしっかり点検することが重要です。
野良猫を飼う際の注意点

野良猫を飼う際の注意点は以下のとおりです。
- なついてもらうのに時間がかかる
- 不妊手術を行う
- 感染症にかからないようにする
上記の注意点について詳しくみていきましょう。
なついてもらうのに時間がかかる
野良猫に限らず地域猫であっても、もともと屋外で自由に暮らしていた猫の場合、人に警戒心を抱きやすい傾向があります。急に部屋の中に入れられたり、人の手に触れられたりすることに慣れていないため、最初は落ち着かない様子を見せるかもしれません。しかし、焦って抱きしめたり、無理やりスキンシップを図ったりすると、かえって猫の不信感を高めることになりかねません。
少し距離を置きながら、猫のペースに合わせてコミュニケーションを重ねることが大切です。美味しい餌やおやつを少しずつ与えつつ、ゆっくりと時間をかけて信頼関係を築いていけば、いずれは猫の方から近寄ってくるようになるでしょう。
不妊手術を行う
猫の幸せと人間の暮らしを両立させるためにも、無責任な繁殖を防ぐことは重要です。繁殖を抑えずに放置してしまうと、猫が増えて多頭飼育崩壊し公衆衛生に悪影響を及ぼすだけでなく、猫同士のケンカや病気のリスクも高まります。
特にメス猫の場合は、妊娠・出産で体力を大きく消耗するうえ、子猫が生き延びることができずに不幸な結末を迎えるケースもあるため、不妊手術は早めに受けさせることをおすすめします。
オス猫も去勢手術を行うことで、発情期に起きやすいスプレー行動やケンカが減り、結果的に寿命が延びるといわれています。自治体やボランティア団体が不妊手術に助成金を出している場合もありますので問い合わせてみるとよいでしょう。
感染症にかからないようにする
屋外での生活が長かった猫は、ウイルス性の感染症にかかっている可能性もあります。代表的なものに猫エイズ(FIV)や猫白血病ウイルス(FeLV)などがあり、健康状態によっては症状が進行しやすい場合もあるため、早めの検査やワクチン接種が推奨されます。
自宅へ迎え入れる前に獣医師へ相談し、血液検査や予防接種プログラムの提案を受けることで、感染症を防ぎ、あるいは適切に管理することができるでしょう。多頭飼いを検討している方は、先住猫への感染リスクを考慮し、必ず健康診断を行うことを忘れないようにしてください。
地域猫を飼う際は準備をしておこう
地域猫を飼うということは、ただ外で暮らしていた猫を家に入れるだけではなく、地域や周囲の人々との協力関係を引き継ぎながら、責任をもって一匹の猫の命を預かることでもあります。初期費用や健康管理の負担、法律や自治体のルールなど、最初はわからないことばかりかもしれませんが、一つひとつ理解を深めていくことで猫との暮らしは確かなものになっていきます。
不妊手術や感染症の予防などを正しく行えば、猫との生活がより長く、より充実したものになるはずです。地域猫を自宅に迎えようと考えている方は、ぜひこの記事を参考に、できることから少しずつ準備を進めてみてください。猫自身にも飼い主にも、そして地域にとっても、幸せな関係が築かれることを願っています。
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