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猫の発情期の鳴き声はどう対策する?避妊去勢で解決できる困った行動【獣医師解説】

「夜中に大声で鳴く」「スプレー(マーキング)が増えた」など、猫の発情期の行動に困っていませんか?これらの行動は生理現象で起こるものですが、飼い主にとっては生活リズムが乱れたり、ご近所の目が心配になったりと、悩みの種になってしまうことも。
これから暖かくなってくると、猫の恋のシーズンに入ります。本格的な発情期に入る前に対策を考えたいですね。
本記事では、猫の発情期の基礎知識やその時期に見られる行動、困った行動への対策をお伝えします。避妊・去勢手術は、発情期の困った行動の対策としてだけでなく、猫の健康管理や飼育崩壊など社会問題対策としても大切なことです。ぜひ、参考になさってください。
猫の発情期はメスで見られる周期的な変化

猫の発情期は、妊娠の準備のためにメスの体のホルモンが変化し、オスを呼び寄せたり受け入れるための特有の行動が見られる期間を指します。
メスは生後6〜10ヶ月頃で初めての発情を迎えます。1回の発情期の長さは約7〜10日程度。猫の繁殖期である春から秋の間に、2〜3週間おきに繰り返し起こります。
オスは発情期のメスに反応して行動の変化が起こる
オスは、生後7〜9ヶ月頃に性的に成熟し、その後は常に交尾が可能な状態になります。
オスにはメスに見られるような周期的な発情期のサイクルはありません。性成熟したオスは、発情中のメスの匂いを感じ取ったり、鳴き声を聞くことでスプレーをしたり、外へ出たがったりといった行動がみられます。
スプレーについて
猫は普段、トイレでしゃがんでおしっこをします。一方、スプレーは、立ったまま尾を立て、少量のおしっこを後ろの壁などの垂直面に吹き付けます。普段のおしっことスプレーのおしっこは成分に違いはありませんが、壁などに吹き付ける分、空気中に匂いが拡散しやすく、匂いが強く感じられやすいという研究結果があります。
発情期の主な行動

メスの発情期中の行動例を紹介します。
- 夜中に大声で鳴く
- 体を擦り寄せる
- 落ち着かない
- おしりを高く上げるロードーシス姿勢を取る
発情期は普段のかわいい鳴き声とは違い、「アーン」「ナーオ」というような大きく低めで長く伸ばす鳴き声を出すことがあります。人の赤ちゃんの鳴き声のようにも聞こえるため、驚いたことがある方もいるかもしれません。猫は本来、夕方や明け方など薄暗い時間に活発になるため、その時間帯に鳴き声が増えるのが特徴です。
メスでもスプレーが見られることもある

メスでも発情期にスプレーをすることがあり、オスへのアピールや縄張りの表示の意味があるとされています。
発情期の困った行動は避妊・去勢手術で大幅に減らせる

発情期に起こる行動は、性ホルモンの影響による生理現象であり、叱ったりしつけで抑えるのは難しいです。そのため、避妊手術(メス)・去勢手術(オス)を行うとホルモンの分泌量が減り、こうした困った行動は大幅に減ることが確認されています。
鳴き声による寝不足やご近所の目に対する対策に加え、猫自身も発情期の精神的なストレスが減って、性格が穏やかになるとも言われています。
他にもたくさん、避妊・去勢手術のメリット
避妊・去勢手術は、発情期の困った行動の解消以外にも猫の健康管理や社会問題の解消にも大きく役立ちます。
子宮やホルモン関係の病気になる確率が下がる
メスでは乳腺腫瘍や子宮蓄膿症、オスでは精巣腫瘍や前立腺肥大などの生殖器系の病気の発症リスクを大きく下げることができます。特に、初めての発情を迎える前の生後約半年頃の避妊手術は、乳腺腫瘍の予防に高い効果があります。
ケンカや濃厚接触で移る感染症の確率が下がる
発情したメスをめぐるオス同士のケンカのリスクも低下します。また、ケンカや交尾を介して感染する猫免疫不全ウイルス感染症(FIV、通称猫エイズ)などの感染症リスクを抑えることにもつながります。
野良猫の増加や多頭飼育崩壊を防ぐ

猫は繁殖能力がとても高い動物です。メスの子猫は早ければ生後半年で繁殖可能となります。つまり、春先に生まれたメスの猫は、早ければ秋には出産ができる体になります。
猫は交尾の刺激で排卵が起こるため、交尾があれば妊娠する確率がとても高いです。猫は1回の出産で平均4匹の子猫を産み、1年で複数回出産することも可能です。
このペースで猫がどんどん増えてしまうと、近年ニュースで取り上げられることも増えてきた多頭飼育崩壊や、野良猫の増加に繋がってしまいます。地域でのこうした問題への対策として、自治体が野良猫の避妊・去勢手術に対し費用の一部を助成しているところもあります。
手術の注意点
避妊・去勢は一般的に安全性の高い手術ですが、術後の健康管理のためにいくつか理解しておきたい注意点があります。
避妊・去勢手術と太りやすさの関係
手術後はホルモンバランスが変わることで食欲が増えたり、代謝が悪くなったりする結果、太りやすくなるといわれます。対策として、 適切な食事・運動管理が大切です。
- 性ホルモンがまだたくさん出ていない初回発情前に手術する
- フードの種類や量を変更する
手術のタイミングについて
発情期に入ってからでも手術は可能ですが、発情中は子宮や卵巣に普段よりたくさん血液が送られ血管が拡張しているため、通常より出血しやすくなります。
メスもオスも手術に最適なタイミングは初回発情を迎える前です。手術で多くの困った行動は改善されますが、発情を迎えてしまったあとでは、スプレーの習慣や性格の攻撃性が残ってしまうこともあります。
手術の費用
避妊手術は約2万円〜5万円、去勢手術はメスよりは少し安く約1万5千円〜3万円の費用がかかります。全身麻酔で行いますが、手術自体はそれほど難しいものではなく約30分で終わります。麻酔から覚めたらその日のうちに帰宅できます。
飼い猫の手術費用の補助が出る自治体もあるので、お住まいの地域のホームページをご確認ください。
ピースニャンコの取り組み|避妊去勢手術のための医療費支援

保護猫を病院につれていくと、健康診断、ワクチン接種といった、基本的な医療措置に加え、これ以上望まない妊娠を増やさないための避妊・去勢手術を行います。この費用は、保護ボランティア個人や団体の負担、もしくは、動物病院の持ち出しとなっているのが現状です。
ピースニャンコでは、連携している保護団体やボランティアが保護した猫に限り、避妊・去勢手術をはじめとした医療費の支援を行っています。保護猫が健康な状態で新しい家族のもとへ譲渡されるまでの活動も後押ししています。また支援の輪を全国に広げ、より多くの命を救う体制づくりにも力を入れています。
まとめ
猫の発情期は、繁殖のために性ホルモンの分泌が高まり、メスが交尾を受け入れる準備が整う期間のことを指します。春〜秋の子育てがしやすい時期に1週間程度続き、妊娠しなければ2〜3週間おきに繰り返します。
発情期には、大きな鳴き声やスプレー行動、落ち着きのなさといった、飼い主にとって少し困った行動が見られることがあります。これらの行動は、性ホルモンの影響による自然な生理現象なので、しつけでは収まりません。
困った行動の対策として一番有効なのは、避妊・去勢手術を受けることです。乳腺腫瘍や子宮蓄膿症、感染症などの病気予防、事故やケンカのリスク軽減、望まない繁殖の防止など、健康面、社会面での大きなメリットもあります。
愛猫との暮らしを快適にするためにも、発情期の知識を正しく理解し、手術を行う場合は適切なタイミングで獣医師と相談しながら対応していきましょう。
【執筆・監修】
獣医師:安家 望美
大学卒業後、公務員の獣医師として家畜防疫関連の機関に入職。家畜の健康管理や伝染病の検査などの業務に従事。育児に専念するため退職し、現在はライターとしてペットや育児に関する記事を執筆中。
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