愛猫との暮らし方
2026.01.30
2026.01.30

猫の多頭飼育崩壊はなぜ起きる?原因と解決策、困ったときの通報先を解説

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「実家の猫が増えすぎて床が見えないほど散らかっている」
「近所の家から強いにおいがして、たくさんの猫の鳴き声が聞こえる」

そんな状況に直面して、どう対応すればいいのか迷っていませんか。猫の多頭飼育崩壊は、飼い主だけの問題にとどまらず、猫の命や近隣の人々の暮らしにも影響が及ぶ課題です。

この記事では、多頭飼育崩壊が起きてしまう背景や原因を整理しながら、気づいたときの具体的な相談先、解決に向けての手順までをわかりやすく解説します。猫と人の生活を守るために「次に何をすればいいか」が見えてくるはずです。

この記事を読むと分かること

多頭飼育崩壊とはどのような状態のこと?

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「多頭飼育崩壊」という言葉を聞く機会が増えてきましたが、実際にはどのような状態を指すのでしょうか。猫をたくさん飼っていること自体が、すぐに問題になるわけではありません。

注意したいのは、飼い主の世話や管理が追いつかなくなり、猫にも人にも無理が生じて、生活環境が大きく損なわれてしまっているケースです。ここでは、多頭飼育崩壊の基本的な考え方や、なぜそうした状況に至ってしまうのかという流れを、わかりやすく整理していきます。

【参照】
環境省「人、動物、地域に向き合う多頭飼育対策ガイドライン~社会福祉と動物愛護管理の多機関連携に向けて~」
環境省「ふやさないのも愛」パンフレット

頭数だけでなく環境の破綻で判断する

多頭飼育崩壊とは、飼育している動物の数が飼い主の経済力や管理能力を超え、適切な飼育ができなくなっている状態を指します。具体的には、餌や水が十分に行き渡っていない、排泄物の処理が追いつかず堆積している、病気や怪我の治療がなされていないといった状況です。環境省のガイドラインでも、単に頭数が多いことだけを問題視するのではなく、動物の健康状態や生活環境の衛生状態が保たれているかが判断の基準とされています。つまり、たとえ数匹であっても、世話が行き届かず不衛生であれば、それは崩壊の予兆あるいは崩壊状態と言えるのです。

項目正常な飼育状態多頭飼育崩壊の状態
食事・水全頭に行き渡り、容器も清潔不足しており、容器も汚れている
排泄物トイレで処理され、清掃されている床や家具に放置・堆積している
健康状態ワクチン接種済・毛艶が良い痩せ細り、目ヤニや皮膚病が見られる
住環境整理整頓され、悪臭がないゴミが散乱し、強烈な悪臭がある

【関連記事】猫の多頭飼いを考えている方必見!先住猫と対面するまでの手順を詳しく解説|ピースニャンコ

猫の繁殖力の高さが要因で頭数が急増しやすい

多頭飼育崩壊につながりやすい大きな理由の一つは、猫の繁殖力の高さに起因します。メス猫は生後半年ほどで妊娠できるようになり、年に2〜3回出産することもあります。1回の出産で生まれる子猫は、平均で4〜5匹程度です。

もしオスとメスの1組を、不妊去勢手術をしないまま飼い続けると、頭数は想像以上の速さで増えていってしまいます。環境省の資料によれば、計算上は1年で20匹以上、2年で80匹以上に増える可能性があるとされています。増えるスピードが早いため、飼い主の気持ちや費用面、世話が追いつかず、「気づいたときには手に負えない状態になっていた」というケースも少なくありません。

環境省ガイドラインで多頭飼育崩壊の基準が確認できる

国としてもこの問題を重要な課題と捉えており、環境省は「人、動物、地域に向き合う多頭飼育対策ガイドライン」をまとめています。このガイドラインでは、多頭飼育崩壊のサインとして「動物の健康状態の悪化」「飼育環境の悪化」「周辺環境への悪影響」の3点が挙げられています。状況を客観的に確認するための目安となり、行政が対応を検討する際の判断材料にもなります。

飼い主が「まだ何とかなる」と感じていても、外から見てこれらの基準に当てはまる場合は、すでに支援や指導が必要な段階に入っている可能性があります。早めに気づき、相談につなげましょう。

多頭飼育崩壊が起きてしまう原因とは

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「大切に飼い始めたはずなのに、どうしてこんな状況になってしまうんだろう」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。多頭飼育崩壊が起きる背景には、飼い主の管理不足だけでなく、お金の問題や心の負担、周囲とのつながりの薄さなど、いくつもの要因が重なり合っていることがあります。ここでは、主な原因を詳しく見ていきましょう。

避妊去勢をしないまま繁殖が進んでしまった

最も多い原因は、不妊去勢手術をせずに飼い続けてしまうことです。「自然のままでいてほしい」「手術は辛そう」「子猫の姿を見てみたい」といった気持ちや、手術についてよく知らないまま飼育を始めるケースもあります。ただ、先ほどお伝えしたように猫の繁殖力はとても高く、室内で飼っていてもオスとメスがいれば次々に増えていきます。最初は「可愛いから」と迎え入れただけのつもりが、気づけば数が増えすぎてお世話が追いつかなくなり、結果的に猫たちを苦しい状況に置いてしまうことになります。愛情からの行動が、思わぬ事態を招くきっかけになってしまうのです。

困窮で手術費の負担が難しくなった

経済的な理由で手術を決断できないケースも多く見られます。猫の不妊去勢手術は、病院や地域によって違いはありますが、オスで1万5千円〜3万円、メスで2万円〜4万円程度が一般的な相場です。1匹なら何とか用意できても、すでに数匹に増えてしまっている場合、手術費用だけで数十万円がかかることになります。日々の生活費をやりくりしながら飼育している家庭では、一時的な出費がどうしても大きな負担となり、「もう少し後で」と先延ばしにしている間にまた子猫が生まれてしまう、という繰り返しになってしまうのです。経済的な余裕のなさと多頭飼育崩壊は、深く結びついています。

社会的孤立によって誰にも相談できなくなった

多頭飼育崩壊に至ってしまう飼い主の中には、地域とのつながりが少なく、孤立しがちな方が多い傾向があります。たとえば高齢で一人暮らしの方や、ご近所づきあいがほとんどないご家庭では、困っていても周囲に相談したり助けを求めたりしにくいのです。

また、「増えすぎてしまって言い出しづらい」「叱られるのが怖い」「猫を手放すことになるかもしれない」といった不安から、状況を隠そうとしてしまうケースもあります。そうなると、外からは気づかれにくい家の中で状態が少しずつ悪化し、においや鳴き声などで周囲が異変に気づいたときには、すでに深刻な状態になっている、という流れがよく見られます。

アニマルホーディングの疑いがある

一部のケースでは、「アニマルホーディング(動物をため込んでしまう状態)」のような心の面の課題が関係していることもあります。十分にお世話ができる状況ではないのに、動物をどんどん増やし続けてしまう行動を指します。

飼い主自身は「自分がこの子たちを助けている」という思いがとても強いため、周囲の助言や支援を受け入れにくくなることがあります。猫を保護することだけでなく、飼い主本人への心のサポートや福祉的な支えもあわせて考えることが大切です。動物の問題であると同時に、人の心や暮らしにも関わる問題といえるでしょう。

要因具体的な状況結果
知識不足繁殖力の強さを甘く見ている予想外のスピードで増殖する
経済的困窮手術費用(数万円)が出せない手術できず増え続け、さらに貧困化
誤った愛情手術は可哀想という思い込み飼育不能になり虐待状態へ陥る

多頭飼育崩壊の放置が招くリスク

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多頭飼育崩壊の状態をそのままにしてしまうと、状況は少しずつ悪化していくことが多く、やがて深刻な結果につながるおそれがあります。影響を受けるのは猫たちの命だけではなく、飼い主の健康や暮らし、そして近隣の方々の生活環境にまで広がってしまうこともあります。ここでは、放置した場合に起こり得るリスクについて、わかりやすく整理していきます。

不衛生な環境により感染症リスクが高まる

糞尿がたまり、掃除が十分にできない状態が続くと、家の中は病原菌や寄生虫が増えやすい環境になってしまいます。結果、猫同士で猫風邪や猫白血病ウイルス感染症などが広がりやすくなり、治療を受けられないまま体力を落として亡くなってしまう猫が出ることもあります。

また注意したいのは、人にも感染する可能性がある「人獣共通感染症(ズーノーシス)」のリスクです。パスツレラ症、皮膚糸状菌症、トキソプラズマ症などは、衛生状態が悪い環境で猫と濃い接触が続くほど、感染の心配が高まります。飼い主自身も体調を崩しやすくなり、日々の生活を保つのが難しくなるケースもあります。

影響を受ける対象具体的なリスク・被害
飢餓、共食い、感染症の蔓延、衰弱死
飼い主呼吸器疾患、アレルギー、精神的疲弊、生活破綻
近隣住民強烈な悪臭、害虫の発生、鳴き声による睡眠妨害

【参照】
厚生労働省「動物由来感染症ハンドブック2024」
環境省「人と動物の共通感染症に関するガイドライン」

悪臭や騒音で近隣トラブルが深刻化する

多頭飼育崩壊の現場で発生する強いアンモニア臭や、昼夜を問わず続く猫の鳴き声は、近隣の方にとって大きな負担になります。実際に「洗濯物が外に干せない」「窓を開けられない」「臭いで気分が悪くなる」といった問題が出て、苦情が相次ぐこともあります。

はじめは様子を見ていた住民の方でも、状況が改善されないまま長引くと行政への相談・通報につながったり、場合によっては損害賠償を求める話し合いや手続きに進んでしまったりすることもあります。結果、飼い主が地域の中で孤立を深め、住み続けること自体が難しくなるような事態に発展してしまう可能性もあります。

愛護法違反で処罰の可能性がある

動物を十分にお世話できない環境で飼い続け、衰弱させてしまったり、病気をそのままにしてしまったりする行為は、動物愛護管理法上の「虐待」とみなされる可能性があります。近年は法改正によって罰則も重くなっており、愛護動物を故意に殺傷した場合は「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金」、虐待や遺棄にあたる場合は「1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」が科されることがあります。

多頭飼育崩壊は、単なる「飼い方のマナー」や「管理が行き届かなかった」という話にとどまらず、状況によっては法的に責任を問われ得る、非常に重い問題なのです。

【参照】
環境省「虐待や遺棄の禁止 [動物の愛護と適切な管理]」
法務省「拘禁刑下の矯正処遇等について」

多頭飼育崩壊を発見した際や当事者になってしまった際の相談先

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自分が当事者になってしまった場合や、近所で「もしかして……」と思う家を見つけた場合、どこに相談すればいいのか迷うことがあるかもしれません。早い段階で適切な窓口につなげることが、状況を落ち着かせるための大切な一歩になります。ここでは、主な相談先と、それぞれが担う役割をわかりやすく紹介します。

「動物愛護センター」や「保健所」へ早めに連絡する

まず相談先として考えられる公的な窓口は、各自治体の動物愛護センターや保健所(生活衛生課など)です。これらの機関は、動物愛護管理法にもとづいて、飼い主への指導や助言を行う立場にあります。

「相談したらすぐに猫が殺処分されてしまうのでは」と不安に思っている方もいますが、最近は多くの自治体で殺処分を減らす方針が進んでおり、まずは飼育環境の改善に向けた働きかけや、必要に応じてボランティア団体と連携しながら譲渡の道を探ることが一般的です。

また、匿名で相談・通報できる場合も多いので、状況が深刻になる前に、早めに情報を寄せておきましょう。

相談先機関主な役割・対応内容
保健所・愛護センター現場調査飼い主への指導動物の保護・収容
社会福祉協議会飼い主(高齢者・困窮者)への生活支援福祉的介入
民生委員地域情報の把握行政へのつなぎ見守り
民間ボランティア猫のレスキュー不妊去勢手術の実施里親探し

【参照】
環境省「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト|アクションプラン」
環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」

福祉窓口と連携し生活面の支援を受ける

飼い主が高齢だったり、経済的に厳しい状況にあったりする場合は、動物の問題だけに対応しても、根本的な解決につながりません。そうしたときは、市役所の福祉課や地域包括支援センターに相談するのがおすすめです。

福祉の専門職が関わることで、飼い主の生活を立て直す支援とあわせて、飼育環境の改善も進めやすくなります。先に「人」への支援から入ることで、これまで支援を受け入れにくかった飼い主が少しずつ気持ちを開き、解決に向けて話が進みやすくなるケースもあります。

民間団体に相談して保護や搬送を進めてもらう

行政だけでは手が回りにくい部分を支えてくれるのが、民間の動物愛護ボランティア団体やNPO法人です。多くの団体が、多頭飼育崩壊の現場での保護活動や、不妊去勢手術のサポート、新しい飼い主探し(里親譲渡)などに取り組んでいます。

ただし、こうした団体も資金や人手に限りがあるため、すべてを任せきりにするのではなく、「自分も無理のない範囲で協力する(寄付・搬送・物資の提供など)」という気持ちで相談しましょう。地元で活動している団体は、インターネット検索やSNSで探し、これまで相談対応の実績があるかを確認したうえで連絡してみると安心です。

多頭飼育崩壊に対する私たちができる支援や予防策

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多頭飼育崩壊を防ぐため、そして不幸な猫を少しでも減らすために、私たち一人ひとりができることは何でしょうか。自分が当事者にならないための予防と、周囲としてできる支え方の両面から考えていきます。

最初の1頭から不妊去勢を徹底する

いちばん確実で効果的な予防は、猫を迎えたらできるだけ早い段階で、不妊去勢手術を受けさせることです。「1匹だけだから」「外に出さないから」と思っていても、ふとした拍子に脱走して妊娠してしまうこともありますし、あとから新しい猫を迎えることもあり得ます。

最初の1頭にきちんと手術をすることは、これから生まれてしまうかもしれない命を増やさないための、大切な備えでもあります。費用面が心配な場合は、自治体や獣医師会が用意している助成制度を利用できる場合もあるので、そうした制度を調べて活用するのも一つの方法です。

アクション効果・メリット
不妊去勢手術望まない繁殖の防止生殖器系の病気予防発情ストレスの軽減
完全室内飼育感染症や交通事故の防止意図せぬ妊娠の回避
助成金の活用経済的負担の軽減(自治体により数千円〜1万円程度の補助あり)

孤立を防ぐために見守りと声かけを続ける

地域の中でさりげなく見守ることも、とても大切なことです。たとえば近所に一人暮らしの高齢の方がいる場合、日ごろの挨拶や声かけでゆるやかなつながりを作っておくと、ちょっとした変化に気づきやすくなります。

「最近、猫の鳴き声が増えたかも」「郵便受けに郵便物がたまっているみたい」といった小さなサインを見つけたときは、民生委員さんや行政の相談窓口に一度相談してみてください。気にしすぎかな、とためらうよりも、地域で孤立を生まない仕組みを少しずつ育てていくことが、結果的に多頭飼育崩壊のような事態を防ぐ力になります。

寄付や物資で保護活動を支える

現場に直接行けなくても、保護活動をしている団体を支えることで、十分に力になることができます。多頭飼育崩壊のレスキューには、医療費やフード代、保護スペースの維持費など、どうしても大きな負担がかかります。

支援の方法は寄付だけではありません。キャットフードやトイレ砂、タオルなどの物資提供も、必要としているところが多く、喜ばれる支援です。また最近は、「ふるさと納税」の使い道として動物愛護活動を選べる自治体も増えてきています。自分の生活スタイルに合うやり方で、無理のない範囲から支援の輪に加わってみるのも良いでしょう。

【関連記事】ふるさと納税で保護猫を支援しよう!寄付の方法やおすすめの自治体を紹介 – ピースニャンコ

まとめ

猫の多頭飼育崩壊は、知識不足や経済的困窮、社会的孤立などが複雑に絡み合って発生する深刻な問題です。

この記事の要点をまとめます。

  • 多頭飼育崩壊は、知識不足・経済的困窮・社会的孤立などが重なって起こりやすい
  • 避妊去勢をしないと繁殖が進み、短期間で管理が追いつかなくなる
  • 放置すると、感染症リスクの増加や近隣トラブル、法的責任につながることがある
  • 気づいた時点で、動物愛護センター/保健所、福祉窓口、民間団体へ早めに相談する
  • 予防には「最初の1頭からの不妊去勢」と、地域で孤立を防ぐ見守りが重要

異変を感じたら一人で悩まず、行政窓口へ連絡を入れましょう。

勇気を出して行動することが、言葉を話せない猫たちと、追い詰められた飼い主を救う唯一の道です。まずは最寄りの相談窓口を調べ、小さな一歩から始めてみてください。

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