猫の病気と健康のお話
2026.01.23
2026.01.23

​​猫の膀胱炎は初期症状で気づいて治療を|原因や再発を防ぐ対策を解説【獣医師監修】

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猫は泌尿器系のトラブルを起こしやすく、中でも膀胱炎は多い病気の一つです。原因と程度によっては数日で自然と治ることもありますが、膀胱炎は再発しやすい上、尿が出なくなる尿道閉塞など、命に関わる症状に進行することも。

この記事では、猫の膀胱炎の症状、原因、治療方法、日常でできる予防策や再発防止の対策までをわかりやすく解説します。ちょっとした対策でも愛猫の膀胱炎を防げる可能性が高まるので、ぜひ取り入れてみて下さい。

この記事を読むと分かること

猫の膀胱炎の主な症状とは

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膀胱炎は膀胱内側の粘膜に炎症が起きる病気です。排尿時に次のような行動が見られた場合は膀胱炎を起こしている可能性があります。

初期に見られるサイン

  • トイレに行く回数が増える
  • 何度もトイレに行くが尿が出ない
  • 排尿に時間がかかる
  • 排尿時に鳴くなど、痛がるそぶりがある
  • 尿の色が濃くなる
  • 血尿が出る
  • 粗相をする

重症化した場合の症状

  • 食欲低下
  • 元気消失
  • 完全に尿が出なくなる
  • 嘔吐

尿が出ないと、本来尿とともに排泄される尿毒素や老廃物が体にたまり、嘔吐や元気消失を引き起こします。これは、緊急の処置を必要とする危険な症状です。

膀胱炎の原因

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猫の膀胱炎を主な原因別に分類しました。

  • 原因不明の特発性膀胱炎
  • 細菌感染による細菌性膀胱炎
  • 結石由来の膀胱炎
  • 腫瘍由来の膀胱炎
  • 外傷による膀胱炎

それぞれ解説します。

特発性膀胱炎

猫の膀胱炎のうち、7割を占めるのが特発性膀胱炎です。「特発性」とは、明らかな原因がはっきりしないことを意味しています。つまり、ウイルスや細菌、結石などの異常が見られないにもかかわらず膀胱に炎症が起きます。

特発性膀胱炎の主なリスク要因

以下のような要因が特発性膀胱炎の発症に関わっているとされます。

  • 肥満
  • 多頭飼育によるストレス
  • 生活環境の変化
  • トイレ環境の不満

これらの要因が自律神経の乱れや膀胱の神経過敏を引き起こし、膀胱に炎症が生じると考えられています。特発性膀胱炎は繰り返しやすく、再発防止には薬による治療に加えストレスの軽減や生活環境の見直しがとても重要です。

細菌性膀胱炎

細菌性膀胱炎は尿道から侵入した細菌が膀胱内で増殖し炎症を起こす病気です。免疫力が落ちている高齢猫に発症しやすく、性別はあまり関係ないと言われています。

発症すると、排尿時の痛み、頻尿、血尿などが見られます。細菌性膀胱炎は抗生物質による治療を行います。繰り返し発症する場合は、基礎疾患の検査や生活環境の見直しが必要です。

結石由来の膀胱炎

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膀胱や尿道に結石があると、それが粘膜を物理的に刺激したり傷つけたりすることで、膀胱炎を引き起こします。血尿や頻尿、痛みといった症状が見られます。

また、結石が尿の流れを妨げ、尿が長い時間膀胱にとどまる結果、細菌が増殖し細菌性膀胱炎を起こすケースもあります。

腫瘍由来の膀胱炎

猫の膀胱内にできる腫瘍は多くはありませんが、移行上皮癌などの腫瘍が膀胱内でできると膀胱粘膜を圧迫したり、尿の流れを妨げたりして、膀胱炎を引き起こすことがあります。抗生物質など一般的な膀胱炎の治療でなかなか改善が見られない場合に疑われます。

外傷による膀胱炎

外傷性の膀胱炎は、膀胱や尿道に物理的なダメージが加わることで炎症が起こるケースです。主な原因には、高所からの落下や交通事故などがあります。

動物病院での検査と治療

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猫に膀胱炎の症状が見られたら、まずはできるだけ早く動物病院を受診することが大切です。特にオス猫の場合は尿道が細く、膀胱炎から尿道閉塞に進行するリスクが高いため、緊急度が高いです。

膀胱炎の検査

診察では、以下のような検査と治療が行われます。

  • 尿検査:尿のpH、細菌の有無、結晶の有無、血液やタンパク質の混入などを確認します。
  • 画像検査:超音波やX線で結石や腫瘍の有無を調べます。
  • 血液検査:全身や腎臓の状態をチェックします。

膀胱炎の治療

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症状や原因に応じて、次のような治療が行われます

  • 消炎鎮痛剤の投与:排尿時の痛みや膀胱の炎症を抑えます。
  • 抗生物質の投与:細菌感染が確認された場合に処方されます。
  • カテーテル処置:尿が出ていない場合や尿路閉塞のリスクが高い場合には、尿道にカテーテルを入れて排尿を促す処置が必要になることもあります。
  • 結石の除去:結石が確認された場合は、療法食による溶解、あるいは大きさや位置によっては手術が検討されます。

自然治癒の可能性は?

一時的なストレスが原因の膀胱炎は、軽症であれば数日で症状が改善することもあります。しかし、膀胱炎は根本的な原因が取り除かれていなければ再発する確率が高いです。

猫は体の不調があっても飼い主に悟られないようにじっと耐える動物です。飼い主にわかる症状が出ている時点で、膀胱炎はある程度進行していると考えられます。猫の行動に違和感があったら、早めに動物病院を受診するようにしましょう。

自宅でできるサポートや生活の注意点

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膀胱炎にならない、また、膀胱炎の再発を防ぐために自宅でできる対策をまとめました。

  • 十分な水分摂取を促す
  • 食事療法を取り入れる
  • ストレスを軽減する工夫をする
  • 清潔なトイレ環境を整える

それぞれ解説します。

十分な水分摂取を促す

猫は元々、非常に濃縮された尿を作る動物です。濃縮尿は、体の水分保持という面では役に立ちますが、結晶や結石ができやすくなるというデメリットがあります。

さらに猫は犬と比べて水をあまり飲まないため、ドライフード中心の食生活では体に入る水分量が一層少なくなり、尿がより濃くなってしまいます。

十分な水分補給は、尿を薄めて排出をスムーズにし、膀胱炎の悪化や再発を防ぐために重要です。

  • 水分量の多いウェットフードを与える
  • 家の複数箇所に清潔な水飲み場を用意する
  • 水の温度に気をつける

特に高齢の猫は水を飲んだりトイレに行くのが億劫になり、飲水量が少なくなります。高齢の猫に多い慢性腎臓病の予防のためにも、お気に入りの場所や寝床の近くに水飲み場を設置し、水を飲む機会を増やしましょう。

食事療法

泌尿器ケア専用の療法食を取り入れるのもおすすめです。

泌尿器ケアの療法食は、

  • 尿のpHバランスを整え、結晶や結石ができにくくなる
  • 一部の結石を溶解する作用がある
  • フード内の結石の材料になる成分が調整されている
  • 自然と飲水量が増えるように適度に塩分を含む

という作用があります。

膀胱炎をくり返す猫、結石ができやすい体質の猫にとって、食事管理は治療と同じくらい大切なケアのひとつです。

ストレスの軽減

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ストレスは特発性膀胱炎の大きな要因とされています。なるべく猫がリラックスできる環境を整えてあげましょう。

  • 静かで落ち着ける隠れ場所や高い場所を確保
  • 十分な運動、遊びの時間をとる
  • 爪とぎやお気に入りの寝床など、安心できるアイテムを設置

清潔なトイレ環境

猫はとても清潔好きな動物で、トイレの環境には強いこだわりを持っています。トイレが汚れていたり、落ち着かない場所にあったりすると、排尿を我慢してしまうことも。

膀胱炎や排尿トラブルがあるときは、ストレスのない快適なトイレ環境を整えてあげることが、治療のサポートにもなります。多頭飼育のお家では、それぞれの猫に専用のトイレを用意してあげるのが理想です。

まとめ

猫の膀胱炎は、早期に気づいて対処すれば多くの場合は回復が見込める病気です。放置すると再発を繰り返したり、尿道閉塞に進行するリスクもあるため「排尿時の様子がおかしい」「尿が少ない」などのサインを見逃さず、早めに動物病院を受診しましょう。

さらに、日常のケアや生活環境の見直しを継続的に行うことが、発症や再発の予防につながります。飼い主の気づきと行動が、愛猫の健康を守る第一歩です。

【執筆・監修】
獣医師:安家 望美
大学卒業後、公務員の獣医師として家畜防疫関連の機関に入職。家畜の健康管理や伝染病の検査などの業務に従事。育児に専念するため退職し、現在はライターとしてペットや育児に関する記事を執筆中。

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