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猫に便秘が多い理由とは|すぐできる対策と病院受診の目安を解説【獣医師監修】

愛猫が数日間うんちをしていないと、「何日出ないと危ないの?」「フードが合っていないのかも?」と不安になる飼い主も多いでしょう。
猫の便秘は決して珍しいものではありませんが、放置すると体調不良や病気につながることもあります。本記事では、猫に便秘が多い理由や受診の目安、便秘の治療法、自宅でできる便秘の対策などをわかりやすく解説します。猫の便秘に悩む飼い主はぜひ参考にして下さい。
猫に便秘が多いのはなぜ?

犬に比べて、猫は便秘になりやすい動物といわれています。その理由のひとつが、腸管が細く、便が詰まりやすい構造にあります。人でも特に大きな病気がなくても便秘体質の方がいるように、猫も体質的に便秘になっているケースが少なくありません。
体質以外にも
- 腸管内の腫瘍
- 慢性腎臓病による脱水
- 加齢
- 骨盤内の骨折
などが原因で便秘が起こることがあります。
また、多頭飼育による猫同士の関係性や生活環境のストレスにより排便を我慢し、便秘につながる場合も多いです。
便秘とは?正常な排便頻度の目安

便秘は、排便回数が減少したり、排便が困難になる状態を指します。
成猫の健康な排便頻度は、1日1回程度が目安とされています。ただし、体質や年齢、食事内容、生活環境によって多少の個体差があります。
子猫の便秘

子猫は、成猫に比べて便秘になりやすい傾向があります。特に生後数か月の子猫は消化器官や排便の機能がまだ発達途中のため環境や食事の影響を受けやすく、排便リズムが乱れがちです。
子猫の便秘は急激に体調を崩すことがあるため、1日以上排便がない、お腹が張って苦しそうにしている場合は早めに動物病院を受診しましょう。
シニア猫の便秘
シニア猫も、若い猫に比べて便秘になりやすくなります。
主な理由は以下の2つです。
- 加齢による身体機能の低下
- 生活習慣の変化
加齢による身体機能の低下
腸のぜん動運動が弱くなることで便の移動が遅くなり、便が硬くなって排泄しづらくなります。慢性腎臓病などの疾患、内服薬の副作用、歯のトラブルによる食事量の低下も便秘の原因となります。
生活習慣の変化
水分摂取量の減少や運動量の低下によって腸の動きがさらに鈍くなると、便秘が慢性化しやすくなります。便秘が続くと、食欲不振や嘔吐など全身の不調につながるため、早めの対策と定期的な健康チェックが重要です。
保護直後の猫の便秘

保護されたばかりの猫は、環境の急激な変化やフードの切り替えによって、便秘になりやすい傾向があります。特に、野良猫や多頭飼育崩壊の現場から保護された猫は、体力や消化機能が落ちていることも多いです。
保護直後は、慣れない室内環境、人間や他の猫の存在、トイレの場所、食事の内容など、すべてが初めての経験です。このようなストレスや緊張は自律神経のバランスを乱し、排便をうまくコントロールできなくなる原因になります。
また、保護前に不規則な食生活をしていた猫は、急に高栄養のフードに変わることで、腸がうまく対応できず便秘になるケースもあります。
受診の目安は、2日以上便が出なかったら

健康な猫は、1日1回程度の排便が一般的です。目安として、2日以上うんちが出ない場合は便秘を疑う必要があります。
一時的に丸1日便が出ないことは問題ない場合もありますが、2日以上続く場合や、以下の症状が見られる場合は注意が必要です。
- トイレで踏ん張っているのに出ない
- 排便時に痛がる、鳴く
- お腹が張って触ると嫌がる
- 食欲不振や嘔吐
- 便に血が混じる
便秘を放置すると便がさらに硬くなり、自然に排泄されにくくなります。2日以上排便がない場合は、早めの受診をおすすめします。
動物病院での便秘の治療

自宅での対策だけで改善しない場合は、動物病院での治療が必要です。早期であれば軽い処置で済むことも多いため、放置しないことが大切です。
便秘による受診では一般的に以下の流れで検査や治療を行います。
1. 診察と検査
まずは問診、触診、X線検査などで腸内の状態を確認します。必要があれば超音波検査を行い、腫瘍や腸閉塞といった他の疾患の有無もチェックします。
2. 浣腸や摘便
固くなってしまった便は、浣腸で柔らかくして排出を促します。手で便をかき出す摘便が行われることもありますが、これには麻酔が必要なこともあります。
3. 水分補給・点滴

脱水があると便秘が悪化するため、点滴による水分補給が行われることもあります。特にシニア猫や食欲不振のある猫では、点滴で体内の水分バランスを整えます。
4. 下剤や整腸剤の処方
慢性的な便秘や再発防止のために、獣医師の判断でラクツロースなどの下剤や整腸剤が処方されることがあります。
人の便秘薬や浣腸を使わない
猫の便秘に人間用の便秘薬や浣腸を使うのはとても危険です。
少量でも激しい下痢、脱水、腸粘膜の損傷、中毒症状を引き起こす恐れがあります。特に、刺激性下剤やマグネシウムを含む薬剤は、猫の体には大きな負担になります。
5. 原因疾患の治療
便秘の背景に巨大結腸症や腫瘍、神経障害などがある場合は、その根本的な疾患に対する治療が必要です。重度の場合は手術が検討されることもあります。
自宅でできる便秘の対策5つ

猫の便秘は、日々の生活習慣の見直しで予防、改善が期待できます。特に体質的に便秘になりやすい猫やシニア猫は、自宅でのサポートが便秘解消の鍵です。
自宅でできる便秘の対策を5つ紹介します。
- フードを見直す
- 水分摂取を増やす工夫をする
- 運動量を増やす
- ストレス対策を行う
- 処方された薬は飲み切る
それぞれ解説します。
① フードを見直す
猫の便秘対策で最も大切なのは食事内容の見直しです。
ドライフード中心の食生活では水分が不足しがちなので、ウェットフードへの切り替えを検討してみましょう。ウェットフードは水分含有量が70~80%と多いため、自然と水分摂取量を増やすことができます。
便秘改善の療法食には、食物繊維や水分量がバランスよく配合されていて、腸の働きをサポートする効果があります。ただし、療法食は獣医師の診察や指導のもとで使用するようにしましょう。
② 水分摂取を増やす工夫をする

猫はもともとあまり水を飲まない動物です。さらにシニア猫は飲水量が減る傾向にあります。以下のような工夫をして、自然に水を飲みたくなる環境を整えましょう。
- 自動給水器を使う
- 複数の水飲み場を設置する
- 常温もしくはぬるめの水を用意する
③ 運動量を増やす

運動不足は腸の動きを鈍らせ、便秘を起こしやすくします。遊びを通じた運動習慣がとても大切です。
- 猫じゃらしやボールなどで1日数回、意識的に運動させる時間を作る
- キャットタワーや家具を活用して上下運動を促す
毎日10〜15分の運動でも、腸への刺激となり便秘対策になります。
④ ストレス対策を行う
猫は環境の変化やトイレの環境にとても敏感です。ストレスは排泄機能にも影響を与えるため、リラックスできる生活環境の維持が重要です。
また、多頭飼いの場合は他の猫との関係性がストレスになっていることもあります。猫同士の距離感にも配慮してあげましょう。
トイレは常に清潔に保ち、数は「猫の頭数+1個」用意するのが理想的です。トイレの場所も静かで落ち着ける空間を選びましょう。
⑤ 処方された薬は飲み切る
動物病院で下剤や整腸剤が処方されている場合は、飼い主の判断で投薬を中止しないでください。
症状が改善したように見えても、突然薬をやめると再び便秘が悪化したり、別の体調不良につながることもあります。必ず最後まで飲み切るようにしましょう。
まとめ
猫は便秘になりやすい動物です。体質的に便秘になりやすい猫もいますが、便秘には食事内容や水分不足、運動不足、ストレス、加齢、病気などさまざまな要因が関係しています。
排便の回数や様子を日頃からチェックし、2日以上便が出ない場合や体調の変化が見られるときは早めに動物病院を受診しましょう。
便秘対策の基本は、
- 食事内容の見直し
- 水分摂取量や運動量を増やす工夫
- 猫が安心して過ごせる環境づくり
です。
自宅でのケアがとても大切なので、猫の便秘に悩む飼い主は1つずつ取り組んでみましょう。それでもなかなか改善しない時は、動物病院のサポートも受けながら愛猫の健康を長く守っていきましょう。
【執筆・監修】
獣医師:安家 望美
大学卒業後、公務員の獣医師として家畜防疫関連の機関に入職。家畜の健康管理や伝染病の検査などの業務に従事。育児に専念するため退職し、現在はライターとしてペットや育児に関する記事を執筆中。
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