保護猫ってどんな猫?
2025.12.19
2025.12.19

「猫バンバン」の正しいやり方は?車と小さな命を守るためにできること

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寒さが厳しくなると、温かい飲み物や暖房が恋しくなるのは人間だけではありません。外で暮らす猫たちにとっても、冬の寒さは命に関わる厳しい問題です。そんなとき、暖を求めて猫たちが入り込んでしまう場所の一つが、私たちの身近にある「自動車」です。もし気づかずにエンジンをかけてしまったら、取り返しのつかない悲しい事故につながってしまいます。

この記事では、そんな事故を防ぐためのアクションである「猫バンバン」について、正しいやり方や注意点を詳しく解説します。今日からすぐに実践できるこの習慣を取り入れて、大切な車と小さな命を一緒に守っていきましょう。

この記事を読むと分かること

猫バンバンとは?命を守るための小さな習慣

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「猫バンバン」という言葉を、ニュースやSNSで耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。これは、自動車のエンジンルームやタイヤの隙間に入り込んだ猫を逃がすために、乗車前にボンネットを軽く叩くアクションのことです。

日産自動車が提唱したことで広く知られるようになり、今では多くのドライバーや自動車メーカーに支持される、命を守るための大切な習慣となっています。ここではまず、なぜ猫バンバンが必要なのか、その背景と目的について詳しく見ていきましょう。

参考:日産自動車、「#猫バンバン プロジェクト」を開始

猫バンバンが生まれた背景

冬場を中心に猫の巻き込み事故が相次いだことから、猫バンバンの取り組みが広まりました。外気温が下がると、猫は少しでも暖かい場所を探してさまよいます。走行直後の車はエンジンが熱を持っており、ボンネット内部は暖かく、雨風もしのげるため、猫にとっては格好のシェルターとなります。

しかし、ドライバーはボンネットの中に猫がいるとは夢にも思わず、そのままエンジンをかけて発車してしまい、ベルトなどの回転部分に猫が巻き込まれてしまう事故が後を絶ちません。このような悲劇を未然に防ぐために、乗車前にボンネットを「バンバン」と叩くという簡単な合図で猫に危険を知らせ、外に出てもらうことが活動の最大の目的です。

猫バンバンをしない場合に起こりうる悲しい事故やリスク

もし猫バンバンをせずにエンジンをかけてしまった場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。最も恐ろしいのは、猫がエンジンのベルトやファンに巻き込まれ、命を落としたり大ケガを負ってしまうことです。猫にとって痛ましいだけでなく、発見したドライバーにとっても一生消えないトラウマとなってしまいます。

また、車へのダメージも深刻です。ベルトが切れたり絡まったりすることでエンジンが停止し、高額な修理費用が発生する場合があります。走行中に突然トラブルが発生すれば、ドライバー自身も交通事故に遭う危険性があります。猫の命だけでなく、ドライバーの安全や経済的な損失にも直結する重大な問題なのです。

なぜ猫はエンジンルームなどの狭い場所に入るの?

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そもそも、なぜ猫はわざわざ入りにくそうな車のエンジンルームに入り込むのでしょうか。

猫と暮らしている方ならご存知かもしれませんが、猫には「狭くて暗い場所」を好む習性があります。車の中はその習性にぴったり合致する条件が揃っているのです。ここでは、猫が車を選ぶ理由と、特に注意が必要な時期について解説します。理由を知ることで、どのような状況で警戒すべきかがより明確になるはずです。

車の中を好むのは猫の習性に起因する

猫が車に入り込む主な理由は、寒さをしのぐためと、外敵から身を隠すためです。車のエンジンルームは、走行後の余熱で暖かく、四方を囲まれているため冷たい風も入ってきません。

また、車体の下から入り組んだ構造を登っていくことで、犬やカラスなどの外敵から襲われない安全な場所に身を隠すことができます。特に警戒心の強い野良猫や、体が小さくて狭い隙間に入りやすい子猫にとって、車の中は理想的な隠れ家となってしまうのです。タイヤとボディの隙間や、車体下のマフラー付近などは要注意です。

冬だけじゃない?注意が必要な季節とタイミング

季節猫が侵入する主な理由特に注意すべき点
冬(12月〜2月)寒さをしのぐため、エンジンの余熱を求めて最も侵入が多い時期毎回必ず確認が必要
春(3月〜5月)出産・子育て場所として子猫の遊び場として子猫は体が小さく奥まで入り込みやすい
夏(6月〜8月)直射日光や雨を避けるため、日陰を求めて台風や夕立の後などは雨宿りで入ることがある
秋(9月〜11月)肌寒くなり暖を求めるため繁殖期急に冷え込んだ朝は特に要注意

猫バンバンは冬のイメージが強いですが、実は冬以外の季節でも油断はできません。例えば、春や秋は猫の出産シーズンです。母猫が安全な子育て場所を探してエンジンルームに入り込んだり、好奇心旺盛な子猫が遊び場として侵入したりすることがあります。

また、梅雨の時期には雨を避けるために車の下に潜り込むこともありますし、夏場でも直射日光を避けて日陰となる車の下で休む猫が見られます。つまり、一年を通して「車に猫がいるかもしれない」という意識を持つ必要があるのです。

特に、久しぶりに車に乗るときや、夜間に冷え込んだ翌朝などは、季節を問わず必ず確認するようにしましょう。

【関連記事】野良猫は冬をどう生きる?寒さ対策と私たちにできることを解説

実践してみよう!猫バンバンの正しい手順と方法

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それでは、具体的にどのように猫バンバンを行えばよいのでしょうか。「ただ叩けばいい」だけではなく、効果的かつ安全に行うための注意点があります。ここでは、乗車前のルーティンとして取り入れたい正しいアクションについて解説します。少しの手間で防げる事故がありますので、ぜひ毎回の運転前に実践してみてください。

手順具体的なアクション目的・効果
1.音を立てるボンネットをバンバンと叩く音と振動で猫に人の気配を知らせる
2.耳を澄ます動きを止めて音を確認する猫の鳴き声や動く音がないかチェックする
3.目視確認車の下やタイヤの隙間を覗く隠れている猫を直接目で見て確認する
4.ボンネット開放可能ならボンネットを開ける奥に入り込んだ猫や反応しない猫を発見する

車に乗る前に必ず行いたい基本アクション

まずは車に乗る前に、ボンネットを優しく叩きます。手のひらで「バンバン」と音が出る程度に、ボンネットの先端付近やタイヤの上あたりを叩きましょう。このとき、一度だけでなく数回叩くことで、寝ている猫も気づきやすくなります。

叩いた後はすぐにドアを開けず、数秒間耳を澄ませてください。もし中に猫がいれば、「ニャー」という鳴き声や、ガサガサと動く音が聞こえることがあります。また、車の下を覗き込んで、タイヤの周りやマフラーの隙間に猫がいないかを目視で確認しましょう。この一連の流れを「乗る前の儀式」として習慣化することが、事故防止への第一歩です。

必ずボンネットを開けて目視確認もすること

バンバンと叩くだけでは不十分な場合もあります。猫が熟睡していたり、寒さで体が動かなくなっていたりすると、叩いても反応がないことがあるからです。

時間があるときや特に寒い日、または近くで猫を見かけたときなどは、実際にボンネットを開けて中を目視確認することを強くおすすめします。ボンネットを開けることで光が入り、猫が驚いて逃げていくこともありますし、エンジンの隙間に挟まっている子猫を直接発見できることもあります。

最近の車はエンジンルームがカバーで覆われていることも多いですが、隙間からライトを照らして奥まで確認するとより確実です。少し手間に感じるかもしれませんが、このひと手間が確実に命を救います。

バンバンしても出てこない?実施時の注意点とコツ

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猫バンバンを行う際には、いくつかの注意点があります。良かれと思ってやったことが、逆に猫を怖がらせてしまったり、傷つけてしまったりすることもあります。また、叩いても猫が出てこないケースの対策を知っておきましょう。ここでは、実践する際に気をつけていただきたいポイントとコツを紹介します。

強く叩きすぎないように注意しよう

「バンバン」という名前から、強く叩いた方が効果があるように感じるかもしれませんが、叩きすぎは厳禁です。あまりに強く叩くと、ボンネットがへこんだり傷ついたりするおそれがあります。

また、中にいる猫が必要以上に驚いてパニックになり、かえって奥の方へ逃げ込んでしまったり、体がすくんで動けなくなったりする可能性もあります。あくまで「ここに人がいますよ」「これから車が動きますよ」と合図を送るイメージで、優しく、しかし音はしっかりと響くように叩くのがコツです。掌全体を使って、コンコン、バンバンとリズミカルに叩く程度で十分効果があります。

叩いても猫が出てこないときの対処法は?

猫バンバンをしても、必ずしも猫がすぐに出てくるとは限りません。特に子猫や、恐怖で固まってしまっている猫、あるいは寒さで衰弱している猫は、音を聞いても逃げ出せないことがあります。「叩いて音がしなかったから大丈夫」と過信するのは危険です。

もし少しでも気配を感じたり、近所で猫の鳴き声がしたりする場合は、前述のようにボンネットを開けて確認するか、車のクラクションを軽く鳴らしてみるのも一つの方法です。

ただし、クラクションは近所迷惑になる可能性もあるため場所を選びますが、大きな音で猫を驚かせて追い出す効果は期待できます。また、ドアを強めに閉める音なども、猫にとっては警告音となります。

もし猫の気配がしたり鳴き声が聞こえたりしたら?

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猫バンバンをした結果、もし本当に猫がいることがわかったら、どうすればよいのでしょうか。焦って無理やり引っ張り出そうとすると、猫に引っかかれたり噛まれたりしてケガをするおそれがありますし、猫のほうもさらに奥へと逃げ込んでしまうかもしれません。

ここでは、猫を発見した際の安全な対処法と、自分ではどうにもできない場合の相談先について解説します。

バンバン以外の猫を外に出す誘導方法

猫の気配を感じたら、まずはエンジンをかけずに様子を見ます。ボンネットを開けられる場合は開けて、猫が自力で出ていけるように逃げ道を確保してあげましょう。このとき、大声を出したり急に動いたりすると猫を驚かせてしまうので、静かに見守るか、少し離れて様子を伺います。

猫が空腹であれば、フードやおやつでおびき寄せるのも効果的です。もし手が届く場所にいて、猫がおとなしいようなら、厚手の手袋やタオルを使って優しく抱き上げ、車から離れた安全な場所へ移動させます。

ただし、野良猫は病気を持っている可能性もあるため、素手で触るのは避けましょう。

自分で対応できない場合の相談先

連絡先・相談先特徴・対応内容注意点
JAF(ロードサービス)24時間対応専門機材での救出が可能依頼が混雑していると時間がかかる場合がある
自動車ディーラー車の構造を熟知しており分解対応が可能営業時間外は対応できないことがある
整備工場地域密着で柔軟に対応してくれる場合がある事前に電話で猫の対応可否を確認が必要
警察・愛護センター緊急時や公道上でのトラブル時に相談可能救出作業自体は専門外の場合がある

猫がエンジンの複雑な隙間に入り込んでしまって手が届かない場合や、威嚇してきて危険な場合は、無理をせずに専門家の助けを借りましょう。

JAF(日本自動車連盟)などのロードサービスに連絡すれば、猫の救出作業を行ってくれる場合があります。ただし、会員であれば無料で対応してくれることも多いですが、非会員の場合は費用がかかることもあるため確認が必要です。

また、近くの自動車整備工場やディーラーに相談すれば、車をジャッキアップしたり部品を外したりして猫を救出してくれることもあります。どうしても連絡がつかない場合は、警察や動物愛護センターへの相談も検討してください。いずれにせよ、猫が入ったままエンジンをかけることだけは絶対に避けてください。

猫バンバン以外にもできる侵入防止対策はある?

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毎回猫バンバンをするのはもちろん大切ですが、そもそも猫が車に近づかないようにできれば、より安心です。猫バンバンは「入ってしまった後の対策」ですが、「入らせないための対策」も併せて行うことで、事故のリスクを大幅に減らせます。ここでは、物理的なグッズの活用や、駐車環境の工夫について紹介します。

対策グッズ・方法効果メリット
ボディカバー物理的に侵入経路を遮断する車の汚れや傷も同時に防げる
超音波発生器不快な音で猫を寄せ付けない人間には聞こえにくく、設置するだけで効果持続
忌避剤(スプレー等)嫌な臭いで接近を防ぐ手軽に導入でき、場所を選ばず使える
駐車環境の整理猫が住み着く要因を減らす根本的な解決につながり、費用がかからない

猫を近づけないためにグッズを活用しよう

猫が車に近づくのを防ぐために、市販の猫よけグッズを活用するのが有効です。例えば、超音波を発生させて猫を遠ざける装置を駐車場の近くに設置したり、猫が嫌がる柑橘系やハーブ系の香りがする忌避剤を車の周りに撒いたりする方法もあります。

また、物理的に侵入経路を塞ぐために、隙間のないボディカバーを車全体にかけるのも非常に効果的です。ボディカバーは猫の侵入だけでなく、車体への爪とぎ傷や足跡、糞尿被害も防げるため、愛車をきれいに保ちたい方にもおすすめです。トゲトゲしたシートをタイヤの周りに置くことで、猫が近づきにくい環境をつくることもできます。

駐車環境を見直してリスクを減らす工夫をしよう

グッズを使うだけでなく、駐車する環境自体を見直すことも対策になります。猫は食べ物の匂いに敏感なので、車の近くにゴミ箱やペットフードを置かないようにしましょう。餌場が近くにあると、猫が集まりやすくなり、その流れで車に入り込むリスクが高まります。

また、車庫やガレージがある場合は、シャッターをこまめに閉めて猫の侵入を防ぐことが基本です。屋外駐車場を利用している場合は、草むらや公園など猫が隠れやすい場所から離れた位置を選ぶのもひとつの手です。日頃から駐車場の周りを整理整頓し、猫が居心地よいと感じない環境をつくることが、遠回りのようで確実な対策となります。

まとめ

猫バンバンは、ドライバーの少しの思いやりで、かけがえのない命を守ることができるアクションです。寒い冬の朝、エンジンをかける前のほんの数秒間、ボンネットをバンバンと叩き、耳を澄ませるだけで、悲しい事故を未然に防ぐことができます。

記事のポイントを振り返ります。

・猫バンバンは、エンジンルームに入った猫を逃がすための合図
・冬だけでなく、春の繁殖期や秋口など、一年を通して注意が必要
・強く叩きすぎず、優しく叩いてから耳を澄まし、可能なら目視確認も行うこと
・もし猫がいたら無理に捕まえようとせず、JAF や専門家に相談するのが安全
・ボディカバーや忌避剤などを活用して、猫を寄せ付けない対策も有効

あなたのその優しさとひと手間が、猫の命だけでなく、あなたの愛車や楽しいカーライフを守ることにもつながります。ぜひ今日から、「乗る前の猫バンバン」を習慣にしてみてください。


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