エッセイ
2025.11.25
2025.11.25

【猫のしぐさ大辞典|表情と耳編】

猫の感情はしっぽの動きや全身の姿勢によく表れますが、無表情かというと……そんなことはありませんよね。猫をよく観察している人なら、彼らが予想以上に表情豊かと気付いているはず。

最近の研究では「猫の表情は276種類ある」という驚きの数字も発表されていました。これほど豊かな表情を持つようになったのは、人間と暮らしてコミュニケーションをとってきたことが理由だそう。

特に表情のポイントとなるのは“耳”“ひげ”“目”。まずは、この中でもわかりやすい“耳”から見ていきましょう。

耳の動きといえば“イカ耳”! その意味とは?

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外に向かってピンと張った猫の耳は、イカのシルエットに似ていることから、愛猫家の間では“イカ耳”と呼ばれています。水平に倒れた形から“飛行機耳”と呼ばれることもありますよね。

この耳の形は犬にも見られますが、そのときの気持ちは真逆。犬の場合は「嬉しい! 大好き!」といったポジティブなサインですが、猫の場合は警戒心や不快感を感じているときのサインだそう。

攻撃モードで怒っている猫の耳は、ピンと立ったまま外向きになりますが、イカ耳は寝かせた形です。これは警戒や不快と同時に、不安や恐怖も感じているから。近付くと「シャーッ!」「フーッ!」と威嚇されることもあるので、気をつけてくださいね。

そんなときはきっと、しっぽもふくらんでいたりと、他にも怒りや恐怖のサインが見られるはず。こんなふうにしっぽや全身もあわせて見ると、より猫の気持ちが掴みやすくなりますよ

頭につくくらい後ろに伏せるのは怖いとき

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イカ耳よりさらに耳を後ろに寝かせて、頭にぺたりとくっつけていたら、恐怖心は最大レベル。前から見ると耳が見えないくらいです。

こういうときは全身も小さく縮めているので、「降参!」という気持ちは一目瞭然。もし怯えている原因がわかる場合は、恐怖の対象を取り除いてあげましょう。

ただし猫の中には、リラックスしているときや嬉しいときに、耳を後ろにぺたっと倒したり、イカ耳になったりする子も! 目を閉じていたり、ゴロゴロと喉を鳴らしたりしていたら、ポジティブな気持ちかもしれません。

叱られたときに耳を伏せてうずくまるのは、反省のしるし?

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どんなに“うちの子”がかわいくても、部屋を散らかされたり、大事なものを壊されたりしたら、飼い主としてはきつく叱りますよね。そんなとき、猫は耳を横に伏せてうずくまり、叱られて落ち込んでいるような姿を見せます。

飼い主さんはつい「叱りすぎたかな……」と思ってしまいますが、果たして本当はどんな気持ちなのでしょう?

実は猫同士の場合“耳を伏せてうずくまる”というのは、攻撃する前のしぐさ。もしも叱っているとき、猫があなたの目をじーっと見つめてくるようなら、反抗的な気分かもしれません。

一方「降参!」のときのように、耳を頭につくくらいペタっと後ろに寝かせていたら、飼い主の叱り声に恐怖やストレスを感じています。きっと目を見ようとしても、すぐに逸らされてしまうはずですよ。

ごきげんなときのヒゲは“10時10分”!

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10時10分。運転免許を持っている人なら、教習所で言われたハンドルを持つ位置のキーワードを思い出しませんか? しかし猫の場合、このキーワードが意味するのは「ごきげん」。ヒゲの角度が正面から見て10時10分のとき、猫はとっても機嫌がいいのです。

ヒゲをこの角度でピンと張っていたら、嬉しい・楽しいといったハッピーなエネルギーがあふれている証拠。もし、しっぽもピンと立てて近づいてくるようなら、「遊ぼう!」というメッセージです。

10時10分の角度でなくても、ヒゲを前向きにピンと立てていたら、何かに興味津々だったりと活発モードのとき。攻撃モードのときも同様に、広がったヒゲは前に向けられます。

ヒゲがダラダラ=気持ちもダラダラ

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ヒゲが頬にくっつけるように後ろ向きになっていたら、不安なときや怯えているとき。怖いので自分を小さく見せようとするのです。

では、前向きでも後ろ向きでもなく、自然と頬に沿うようにダラッと垂れていたら?

答えは「リラックスしている状態」。のんびり寛いでいたり、興味を惹くものがなくて「ひまだなぁ」とボーっとしているときのヒゲは、気持ちと同じようにのんびりしているようですよ。ぜひ一緒に昼寝でもして、リラックスタイムを楽しむのもいいかもしれません。

瞳孔の大きさも気持ちのヒント

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暗い場所でも獲物を追えるように、夜目がよくきくのが猫の目の特徴。猫の黒目(瞳孔)は周囲の明るさによって、まんまるに広がったり針のように細くなったりと、大きく変化します。

この変化は明るさだけでなく、猫の気持ちによっても起きることをご存じですか?

瞳孔が広がってまんまるになるのは、遊んで興奮しているときや好きな食べ物を見て喜んでいるとき。何かに驚いたり、危険を感じて怖がったりしていても、瞳孔は大きくなります。爪を切ろうとしたら、まんまるお目目を見せる子も多いのでは。

逆に、いわゆる“猫目”と言われる細い瞳孔になるのは、勝てる自信がある攻撃モードのとき。鋭いまなざしで相手をにらみつけるときは、針のような黒目になっています。また安心できる高い場所でリラックスしているときも、同じような瞳孔になることがあります。

猫のアイコンタクトはどういう意味?

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話を聞くときは相手の目を見て……というのは、人間同士のコミュニケーションではよく言われますね。共感性の高い人は目を合わせる頻度が高い、という研究結果もあるほどです。

一方、多くの動物にとってアイコンタクトは威嚇のサイン。猫にとっても、目を合わせるのはケンカの前段階であり、宣戦布告といっても良いでしょう。もしあなたの愛猫が嬉しいときに目を合わせてきたり、アイコンタクトで喜んだりするようなら、人と暮らす中でアイコンタクトというコミュニケーションを学習したと考えられます。

もし叱られている愛猫が目をそらすようなら、感情的になっている飼い主との“ケンカ”を避けようとしているのかも。もうこちらの怒りは伝わっているので、お説教はほどほどで切り上げたほうが良さそうです。

また目をそらす以外に、「まぶたを半分くらい閉じる」「ゆっくりまばたきをする」のも、敵意はないというメッセージ。最近の研究では、飼い主が愛猫に向かってゆっくりまばたきをすると、その子もゆっくりまばたきを返してくれると判明しています。ぜひ試してみてはいかがでしょうか?

遊びの途中で大あくび! そのホンネは?

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あくびといえば眠いときにするものですが、猫は遊んでいる途中で大きなあくびをすることがあります。「遊びに飽きて、眠くなっちゃったのかな?」と思うかもしれませんが、実際はその逆。なんと気合を入れているサインなのです。

あくびは、深呼吸することで脳に酸素を送り込み、活性化させようとする身体の仕組み。脳や身体を覚醒させようというときに出る行動なので、あくびをしたときの猫は「眠いなぁ」「退屈だなぁ」という気持ちではなく、「さあ、やるぞ!」という気持ちなんだそう。

ただし、猫は嫌なことがあったときや失敗したときも、平常心を取り戻そうとしてあくびをすることがあります。熱中して興奮している遊びの途中であくびをしていたら、やる気を出そうとしているのではなく、「ちょっと落ち着こう」としているのかもしれませんね。

言葉のかわりに全身の動きやしっぽの動き、そして耳やヒゲや目でも、猫たちはたくさんの気持ちを教えてくれています。

喜びをシェアするのも、怖さや不安を伝えてくれるのも、家族として暮らすために大切なこと。猫のしぐさを学ぶことで、さらに信頼が育っていくはずですよ。

 

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