猫の病気と健康のお話
2025.11.14
2025.11.14

​​猫の呼吸が速いのは病気のサイン?正常な呼吸数と受診の目安を解説【獣医師監修】

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猫の呼吸状態は健康かどうかを知るうえでとても大切なサインのひとつです。

運動のあとや暑いときに一時的に呼吸が速くなることは問題ないことがほとんどですが、安静時でも呼吸が速いときは、体に異常がある可能性も考えなくてはなりません。

この記事では、

  • 猫の正常な呼吸数の目安
  • 呼吸が速いときに疑われる病気
  • 呼吸の異常の目安

などを、獣医師がわかりやすく解説します。

呼吸数のカウント方法も載せているので、ぜひ普段の健康チェックにお役立てください。

この記事を読むと分かること

猫の正常な呼吸数

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猫の呼吸はとても静かで目立ちにくいため、普段はあまり意識していない飼い主も多いことでしょう。健康なときの呼吸数を知っておくと、呼吸の変化に早く気づくことができます。

猫の正常な呼吸数の目安(安静時)

  • 子猫(0〜6ヶ月):約24〜36回/分
  • 成猫(7ヶ月〜):約20〜30回/分

子猫は新陳代謝が活発で体温調整もまだ未熟なため、成猫よりも呼吸が少し速いです。

シニア猫は普段から注意して観察を

7歳以上のシニア猫は、心臓病や腫瘍など呼吸に影響を与える病気のリスクが高くなります。

呼吸数の増加は、体に痛みがあったり、心不全などの初期症状であったりする可能性も考えられます。「年齢のせいかな」と見過ごさず、日頃から呼吸の様子をよく観察するようにしましょう。シニア期に入ったら、年に1度の健康診断も忘れずに受けさせるようにしてください。

呼吸が速いときに考えられる主な原因

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呼吸が速くなる原因として、主に以下の病気が考えられます。

  • 痛みやストレス
  • 呼吸器の病気
  • 心臓病
  • お腹の病気による圧迫や痛み
  • ショック症状
  • 中毒
  • 熱中症

それぞれ解説します。

痛みやストレス

私たち人間でも、強い痛みやストレスを感じると自然と呼吸が浅く速くなりますよね。猫も同じで、動物病院に行くとき、知らない人が家に来たとき、病気やケガで体のどこかに痛みがあるときなどには無意識に呼吸が早くなります。

痛みやストレスが一時的なもので、原因がなくなり呼吸も普段通りに戻れば問題はありません。呼吸が速い状態が続く場合は、痛みや不調のサインの可能性があるため動物病院を受診し、獣医師に相談してみましょう。

呼吸器の病気

次に、肺や気管といった呼吸器に原因があるケースです。猫でよく見られる呼吸器の病気には以下のようなものがあります。

  • 感染症
  • 猫喘息(アレルギー性気管支炎)
  • 肺炎・気管支炎
  • 胸水/気胸

それぞれ解説します。

感染症

ヘルペスウイルスやカリシウイルスが原因の感染症では、くしゃみや鼻水といった風邪のような症状が現れます。こうした感染症は野良猫や保護したての猫によくみられる症状です。

鼻水のせいで鼻が詰まると鼻呼吸がしづらくなり、呼吸が速くなったり口を開けて呼吸したりする姿が見られます。

猫喘息

猫喘息は感染症ではなく、アレルギーによる呼吸器の病気です。

炎症のせいで気管支が狭くなり、呼吸が浅く速くなったり、ゼーゼー、ヒューヒューという異常な呼吸音が聞こえるようになります。悪化すると咳や開口呼吸がみられることもあります。

肺炎・気管支炎

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細菌やウイルスの感染によって肺や気管支が炎症を起こす病気です。

呼吸の異常に加え、発熱、元気消失、食欲不振、咳といった全身の症状も現れます。免疫力の弱い子猫やシニア猫では重症化しやすく、注意が必要です。

胸水・気胸

胸の中に液体(胸水)や空気(気胸)がたまり、肺が膨らみにくくなる状態です。猫は浅く速い呼吸を繰り返すようになり、見た目にもお腹を大きく動かして必死に呼吸する様子(努力呼吸)がみられます。

胸水の原因:猫伝染性腹膜炎(FIP)や腫瘍、心臓病など

気胸の原因:事故や外傷、または肺の病変など

心臓病

猫の心臓病は初期にはほとんど症状が出ないことが多く、飼い主が気づいた時には進行しているケースも少なくありません。

心臓病で呼吸が速くなるのは、心臓のポンプ機能が低下し、肺や胸腔内に液体がたまり始めた状態(心不全)のサインであることが多いです。このような状態になると呼吸がしにくくなるため呼吸が速くなります。

お腹の異常による圧迫

腹部に液体やガスが溜まったり、腫瘍ができたりすると、横隔膜を押し上げて肺の膨らみを邪魔することがあります。

  • 腹水
  • 重度の便秘

腹水

腹水はお腹の中に液体がたまる状態です。主な原因には、猫伝染性腹膜炎(FIP)や腫瘍といった内臓の病気が挙げられます。呼吸が速くなってきた時点で、病状はすでに進行している可能性が高いです。

重度の便秘

便秘になって腸にガスが溜まると、肺が圧迫されて呼吸が速くなることがあります。呼吸に影響が出るレベルの便秘ではすぐに治療が必要です。

ショック症状

ショックとは、出血や脱水、感染症が原因で血圧が急激に下がり、体全体が危機的な状況に陥ることです。このような時、体は全身に酸素を届けるために呼吸数と心拍を上げようとします。ショック状態になった場合は、急いで動物病院で処置が必要です。

中毒(食べ物・農薬など)

中毒物質の誤食はそれほど多い事故ではありませんが、ユリ科植物、人間用の薬、殺虫剤や農薬などの誤食が原因で呼吸が速くなることがあります。命が危険なケースも少なくないので、誤食をしたときはすぐに動物病院を受診しましょう。

熱中症

暑い日や風通しの悪い場所に長時間いると、猫も熱中症になります。

暑さのせいで呼吸が速い、開口呼吸をしている、ぐったりしている、吐くなどの症状は熱中症でみられるものです。涼しい場所に移動させ、動物病院に連絡を取りましょう。

呼吸数の数え方

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自宅で簡単にできる、呼吸数の数え方を紹介します。

猫が安静にしているときに、お腹の動きを観察します。猫が横向きに寝そべっているときが見やすくておすすめです。活発に動いた後や緊張しているときは避けましょう。また、寝ているときは呼吸がゆっくりになるため、目を覚ましているときに計測しましょう。

お腹が1回上下するのを「1回」とカウントし、1分間計測します。どうしても猫が動いてしまうときは、少し正確さは劣りますが、30秒数えて×2、15秒間で数えて×4でも1分間の呼吸数がわかります。

異常の目安

呼吸の異常のサインは以下のとおりです。

  • 1分間に40回以上の速い呼吸が続く
  • 努力呼吸をしている
  • 開口呼吸をしている
  • ゼーゼー、ヒューヒューなど、いつもはしない呼吸音がしている

猫の開口呼吸は危険なサイン

猫は本来「鼻呼吸」が基本であり、健康な状態なら犬のように口を開けて呼吸をすることはありません。

  • 「ハァハァ」と犬のように舌を出して呼吸をしている
  • 口を開けたまま苦しそうにしている
  • 舌が紫〜青白い色に変わっている

これらはすべて重度の呼吸困難を示す危険なサインです。すぐに動物病院を受診してください。

まとめ

猫の「呼吸が速い」という症状は、運動直後や一時的なストレスなどしばらくすれば収まるものが多いです。しかし、中には命に関わる深刻な病気が隠れている可能性もあるため、長く続くときは見逃してはいけません。

以下のような症状が出ている場合は、迷わずすぐに動物病院へ連れていきましょう。

  • 呼吸数が1分間に40回以上で安静にしても戻らない
  • 開口呼吸や努力呼吸をしている
  • 呼吸とともに普段しない音がしている
  • 食欲不振、ぐったりしているなど、他の症状がある

大切な愛猫の命を守るために、日頃から呼吸の状態を観察する習慣を持つことが大切です。

不安なときは動画や音声を録って、獣医師に見せるのも良い方法です。気になる呼吸の変化があれば、自己判断せず、早めに獣医師に相談しましょう。

【執筆・監修】
獣医師:安家 望美
大学卒業後、公務員の獣医師として家畜防疫関連の機関に入職。家畜の健康管理や伝染病の検査などの業務に従事。育児に専念するため退職し、現在はライターとしてペットや育児に関する記事を執筆中。

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