子猫の離乳食はいつから?フードの選び方や与え方、注意点を解説

生まれたばかりの子猫を家族に迎え入れた時、その成長の早さに驚きますよね。特に生後1ヶ月を過ぎると、ミルクだけでは栄養が足りなくなり、「離乳食」への切り替えが必要になります。しかし、初めて子猫を育てる方にとっては「いつから離乳食を始めればいいの?」「何を与えたらいいの?」と不安なことばかりですよね。
この記事では、子猫の離乳食を始める最適なタイミングから、具体的な与え方、注意点、そしてドライフードへの切り替えまでを分かりやすく解説します。大切な子猫が健やかに成長できるよう、一緒に学んでいきましょう。
子猫の離乳食はいつからいつまで?

子猫の成長は非常に早く、食事の形態もめまぐるしく変化します。離乳食を始めるタイミングと終えるタイミングの見極めが、子猫の健やかな発育の鍵となります。早すぎても遅すぎても体に負担をかけてしまう可能性があるため、子猫の様子をよく観察しながら進めてあげましょう。
生後3〜4週齢で乳歯が生え始めたら開始のサイン
子猫の離乳食を始める最適なタイミングは、生後3〜4週齢頃です。この時期になると、可愛らしい小さな乳歯が生え始め、兄弟猫や人の指を甘噛みするような仕草が見られるようになります。これが「ミルク以外の食べ物に興味を持ち始めた」というサインです。
生まれたばかりの子猫は母乳やミルクから全ての栄養を摂取しますが、成長するにつれてそれだけではエネルギーが不足してきます。乳歯が生え始めることは、固形物を食べる準備が整ってきた証拠なのです。
生後8週齢頃の永久歯への生え変わりが完了の目安
離乳食の期間は、およそ生後8週齢(約2ヶ月)頃まで続きます。この頃になると乳歯がしっかりと生えそろい、ドライフード(通称カリカリ)をそのまま食べられるようになります。個体差はありますが、多くの猫がこの時期に離乳食を卒業し、子猫用のフードへと完全に移行します。
ただし、焦りは禁物です。猫によっては環境の変化や好みの問題で、なかなかドライフードに切り替えられない場合もあります。その子のペースに合わせて、ゆっくりと進めていくことが大切です。
初めてでも安心!子猫の離乳食の選び方

お店に行くと様々な種類のキャットフードが並んでおり、どれを選べば良いか迷ってしまいますよね。特に体の基礎を作る大切な離乳期には、栄養バランスの取れた適切なフードを選ぶことが重要です。ここでは、離乳食選びの基本的なポイントをご紹介します。
栄養バランスの取れた「子猫用総合栄養食」を選ぶ
離乳食を選ぶうえで最も大切なのは、「総合栄養食」と記載のある子猫用(キトン・グロース)のフードを選ぶことです。総合栄養食とは、そのフードと水だけで猫が生きていくために必要な栄養素がバランスよく摂取できるフードのことを指します。
子猫は成猫よりも多くのエネルギーを必要とするため、高タンパク・高カロリーに設計された子猫用のフードが不可欠です。パッケージに「総合栄養食」の表記があるか、必ず確認しましょう。
フードの種類 | 特徴 | 離乳食としての適性 |
総合栄養食 | それと水だけで健康を維持できる栄養バランスのフード | ◎最適 |
一般食 | おかずやおやつタイプ嗜好性を高める目的のフード | ×不向き |
療法食 | 特定の病気に対応するためのフード獣医師の指示が必要 | ×不向き |
ウェットフードやペースト状のものがおすすめ
離乳食を始めたばかりの子猫は、まだ消化器官が未熟なため、消化しやすく食べやすいウェットフードやペースト状、ムース状のものが最適です。水分量が多く、ミルクから固形食へのスムーズな移行を助けてくれます。
また、ドライフードに比べて香りも強いため、子猫の食欲をそそりやすいというメリットもあります。最初はウェットフードや離乳食用のペーストから始めて、少しずつ固さに慣らしていくのが良いでしょう。
ドライタイプはお湯でしっかりふやかす
子猫用のドライフードを離乳食として与える場合は、必ずお湯で十分にふやかしてから与えてください。熱湯は栄養素を壊してしまう可能性があるので、30〜40℃のぬるま湯を使うのがポイントです。
ドライフードがふやけて柔らかくなるまで数分ほど置き、フォークの背などで潰してペースト状にします。最初はポタージュスープくらいの柔らかさを目指し、成長に合わせて徐々にお湯の量を減らして固さを調節していきましょう。
子猫への離乳食の与え方【簡単4ステップ】

離乳食の準備ができたら、いよいよ子猫に与えてみましょう。最初は戸惑うかもしれませんが、正しい手順で少しずつ慣らしてあげれば、上手に食べられるようになります。焦らず、子猫のペースで進めることが大切です。
ステップ1:人肌程度の温度に温めて準備する
離乳食は、与える前に人肌(約38℃)に温めてあげましょう。猫はもともと獲物を狩って食べていた動物なので、冷たい食べ物よりも温かい食べ物を好む傾向があります。フードを温めることで香りが立ち、子猫の食欲を刺激する効果も期待できます。
電子レンジで温める場合は、加熱しすぎないように注意し、与える前には必ず飼い主さんが指で温度を確認して、やけどをさせないようにしてください。
ステップ2:まずは指やスプーンで味に慣れさせる
いきなりお皿から与えても、子猫は何が起こったのか分からず食べてくれないことが多いです。最初は、飼い主さんの指先に離乳食を少量つけ、鼻先に持っていき匂いを嗅がせたり、上あごに軽く塗ってあげたりして、「これは美味しい食べ物だよ」と教えてあげましょう。
指から舐め取ることに慣れたら、次は小さなスプーンを使って与えてみます。こうして段階を踏むことで、子猫は安心して新しい食べ物を受け入れることができます。
ステップ3:浅いお皿で自分で食べる練習をさせる
スプーンから上手に食べられるようになったら、次はお皿から自分で食べる練習です。子猫が顔を入れやすいように、できるだけ底が浅くて平らなお皿を用意してあげましょう。
最初はうまく食べられずに顔や足が汚れてしまうかもしれませんが、これも成長の過程です。叱ったりせず、食事が終わったら濡らしたガーゼなどで優しく拭き取ってあげてください。
ステップ4:体調を見ながら徐々に量を増やしていく
離乳食を開始した初日は、小さじ1杯程度からスタートします。その後、うんちの状態に問題がなければ、少しずつ量を増やしていきましょう。離乳期の子猫はまだ胃が小さく、一度にたくさん食べることができません。1日の食事量を4〜6回に分けて、こまめに与えるのが理想的です。食事の量や回数は、子猫の成長や体調に合わせて柔軟に調整してあげてください。
【関連記事】猫のごはんの回数は1日何回が正解?子猫・成猫・老猫の年齢別に最適な与え方を解説します
子猫の離乳食で注意すべき大切なポイント

子猫は非常にデリケートです。離乳期は特に体調を崩しやすいため、食事の与え方には細心の注意が必要です。ここでは、子猫の健康を守るために飼い主さんが知っておくべき重要なポイントを解説します。
ポイント1:人間用の牛乳や食べ物は絶対に与えない
猫に人間用の牛乳を与えてはいけない、と聞いたことがあるかもしれません。これは事実で、多くの猫は牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素を持っておらず、下痢や嘔吐の原因になります。
また、玉ねぎやチョコレート、味付けの濃い人間の食事は猫にとって中毒症状を引き起こす危険なものです。好奇心旺盛な子猫が口にしてしまわないよう、管理には十分注意してください。
【関連記事】猫に牛乳は危険?猫を守るための正しい知識と安全な与え方
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ポイント2:新鮮な水をいつでも飲めるように用意する
離乳食を開始すると、食事から摂取する水分量がミルクだけを飲んでいた頃よりも減ってきます。そのため、いつでも新鮮な水が飲めるように、清潔な器に水を用意しておくことが非常に重要です。
水の容器は、食事場所とは少し離れた静かな場所に置いてあげると、猫が安心して水を飲みやすくなります。まだ上手に水が飲めない場合は、離乳食に少し水分を足してあげるのも良い方法です。
ポイント3:食べ残しはすぐに片付けて衛生的に保つ
ウェットフードやふやかしたドライフードは傷みやすく、長時間放置すると雑菌が繁殖して食中毒の原因になります。子猫が食べ終わったら、食べ残しはすぐに片付けるようにしましょう。特に気温の高い夏場は注意が必要です。食事のお皿は毎回きれいに洗い、常に清潔な状態を保つことを心がけてください。
ポイント4:うんちの状態を必ずチェックする
子猫のうんちは、健康状態を示す大切なバロメーターです。離乳食を始めると、ミルクを飲んでいた頃の黄色っぽいうんちから、茶色い固形のうんちに変化していきます。
もし、うんちが極端に硬かったり、逆に水のような下痢が続いたりする場合は、離乳食が体に合っていないか、体調を崩しているサインかもしれません。普段と違う様子が見られたら、早めに動物病院に相談しましょう。
子猫が離乳食を食べない!考えられる原因と対処法

手塩にかけて準備した離乳食を子猫が食べてくれないと、心配になってしまいますよね。しかし、子猫が離乳食を食べないのには、いくつかの理由が考えられます。原因を突き止め、適切に対処してあげましょう。
原因1:まだミルクが欲しい時期
離乳食を始めるのが早すぎると、子猫はまだ固形食を受け付けられず、ミルクを欲しがることがあります。乳歯がまだ生えそろっていなかったり、食べ物に興味を示さなかったりする場合は、無理強いせず、一度ミルクに戻して数日後に再挑戦してみましょう。
原因2:フードの硬さや温度が気に入らない
猫はグルメで、食べ物の硬さや温度にこだわりを持つことがあります。離乳食が硬すぎたり、逆に柔らかすぎたり、冷たかったりすると、そっぽを向いてしまうかもしれません。お湯の量を調整して硬さを変えてみたり、人肌に温め直したりと、子猫の好みに合わせて工夫してみましょう。
原因3:環境の変化によるストレス
新しいお家にやってきたばかりの時期や、生活環境に何か変化があった時、子猫はストレスで食欲が落ちてしまうことがあります。まずは子猫が安心できる静かな環境を整えてあげることが最優先です。無理に食べさせようとせず、リラックスできるまでそっと見守ってあげましょう。
原因4:体調不良のサイン
食欲がないだけでなく、ぐったりしていて元気がない、嘔吐や下痢をしているといった症状が見られる場合は、何らかの病気が隠れている可能性があります。特に子猫は急に体調が悪化することがあるため、少しでもおかしいと感じたら、すぐに動物病院を受診してください。
【関連記事】猫の下痢 便の異常に早く気づくためのポイントや受診の目安を獣医師が解説【獣医師監修】
カリカリはいつから?離乳食からドライフードへの切り替え方

離乳食を卒業し、いよいよ大人と同じドライフード(カリカリ)へとステップアップする時期がきます。ここでも、子猫の消化器官に負担をかけないよう、時間をかけてゆっくりと行うのがポイントです。
ふやかすお湯の量を少しずつ減らしていく
現在、ふやかしたドライフードを与えている場合は、ふやかすためのお湯の量を少しずつ減らしていき、徐々に芯が残るくらいの硬さにして慣らしていきましょう。1週間から10日ほどかけて、フードの水分量を減らしていくイメージです。子猫が嫌がることなく、ポリポリと食べられるようになるのが目標です。
カリカリのままのフードを数粒混ぜてみる
お湯でふやかしたフードに、カリカリのままのドライフードを数粒混ぜて与えてみるのも良い方法です。最初は「なんだこれ?」という反応をするかもしれませんが、遊びながら食べているうちに、だんだんとカリカリの食感に慣れていきます。
混ぜるカリカリの割合を少しずつ増やしていき、最終的に全てドライフードに切り替われば、離乳は完了です。
まとめ
子猫の離乳食は、生後3〜4週齢から始め、生後8週齢頃までに完了させるのが一般的です。大切なのは、子猫の成長ペースに合わせて、焦らずゆっくりと進めることです。
この記事で紹介したポイントを参考に、子猫の健やかな成長をサポートしてあげてください。食事の時間は、子猫との絆を深める絶好の機会でもあります。たくさんの愛情をもって、この特別な時期を見守ってあげましょう。
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