愛猫との暮らし方
2025.09.05
2025.09.05

猫に牛乳は危険?猫を守るための正しい知識と安全な与え方

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愛猫が足元にすり寄ってきて、食卓にある牛乳を興味深そうに見つめる、そんな経験はありませんか?昔のアニメや絵本では猫がミルクを飲むシーンがよく描かれますが、実は人間が飲む牛乳を猫に与えるのは、あまりおすすめできません。良かれと思ってしたことが、かえって愛猫の体調不良を引き起こす可能性があります。この記事では、なぜ猫に牛乳が良くないのか、その理由と、もし与える場合の注意点、そして万が一飲んでしまった時の対処法について、分かりやすく解説していきます。

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この記事を読むと分かること

 猫に牛乳を与えてもいいの?

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「猫はミルクが好き」というイメージから、牛乳を与えても問題ないと思われがちです。しかし、人間用に市販されている牛乳は、猫の体にとっては負担が大きい飲み物です。愛猫の健康を守るためには、牛乳に関する正しい知識を持つことが非常に重要になります。

基本的に人間用の牛乳はおすすめできません

結論から言うと、猫に人間用の牛乳を積極的に与えることは推奨されません。 猫にとって有害な成分が入っているわけではありませんが、猫の消化器官の特性上、体調不良の原因となる成分が含まれているためです。水分補給のつもりで与えたり、日常的におやつとして与えたりすることは避けましょう。

なぜダメ?猫が牛乳を消化しにくい理由

猫に牛乳が推奨されない最大の理由は、牛乳に含まれる「乳糖(ラクトース)」にあります。 猫は、この乳糖を分解するための「ラクターゼ」という消化酵素を、成猫になるとほとんど持たなくなります。そのため、乳糖をうまく消化・吸収できず、腸内に残った乳糖が水分を引き込んでしまい、下痢などの消化器症状を引き起こしてしまうのです。これを「乳糖不耐症」と呼びます。

子猫なら牛乳を飲んでも大丈夫?

では、母乳を飲んでいる子猫なら大丈夫なのでしょうか。答えは「いいえ」です。子猫は確かに母乳を分解する酵素を持っていますが、それはあくまで「猫の母乳」を消化するためのものです。 牛の母乳である牛乳は、猫の母乳とは成分が大きく異なります。子猫の成長に必要なタンパク質や脂肪分が不足しているため、牛乳を与え続けると栄養不足に陥る可能性があります。保護した子猫などでミルクが必要な場合は、必ず子猫用に開発された専用ミルクを与えてください。

猫が牛乳を飲むことで考えられる3つのリスク

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牛乳を与えることで、具体的にどのような健康リスクが考えられるのでしょうか。主な3つのリスクについて解説します。これらのリスクを理解し、愛猫を危険から守りましょう。

リスク1:下痢や嘔吐を引き起こす「乳糖不耐症」

最も一般的なリスクが、前述した「乳糖不耐症」による消化器症状です。 牛乳を飲んでから数時間以内に、下痢や腹痛、嘔吐といった症状が現れることがあります。全ての猫が必ず症状を起こすわけではなく個体差がありますが、特に消化器官が未発達な子猫や、機能が低下している高齢の猫では、症状が出やすい傾向にあります。

リスク2:牛乳に含まれる成分によるアレルギー

人間と同じように、猫にも食物アレルギーがあります。牛乳に含まれる「カゼイン」などのタンパク質がアレルゲンとなり、アレルギー反応を引き起こすことがあります。 症状としては、皮膚のかゆみや赤み、湿疹、下痢、嘔吐などが見られます。乳糖不耐症と症状が似ている場合もありますが、皮膚に症状が出た場合はアレルギーの可能性が高いと考えられます。

リスク3:カロリー過多による肥満の可能性

牛乳は栄養価が高い一方で、猫にとってはカロリーも高い飲み物です。 日常的に与えていると、カロリーの過剰摂取につながり、肥満の原因となります。肥満は、関節炎や糖尿病、心臓病など、さまざまな病気のリスクを高めることが知られています。普段の食事で必要な栄養素は十分に摂取できているため、あえて牛乳で栄養を補う必要はありません。

リスクの種類主な原因代表的な症状
乳糖不耐症乳糖(ラクトース)下痢、嘔吐、腹痛
食物アレルギータンパク質(カゼインなど)皮膚のかゆみ・赤み、下痢、嘔吐
肥満高カロリー、高脂肪体重増加、各種生活習慣病のリスク増

猫が牛乳を欲しがるときの正しい対処法

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愛猫がどうしても牛乳を飲みたがる、そんな時はどうすれば良いのでしょうか。人間の牛乳を与えるのではなく、猫の体に配慮された代替品を選ぶことが大切です。安全に与えられる選択肢を知っておきましょう。

猫のために作られた「猫用ミルク」を選びましょう

最も安全で推奨されるのが、ペットショップや動物病院で販売されている「猫用ミルク」です。 猫用ミルクは、問題となる乳糖があらかじめ分解・除去されているため、乳糖不耐症の猫でもお腹を壊す心配がありません。また、猫に必要な栄養素であるタウリンなどが強化されており、栄養バランスも考慮されています。

ヤギミルクは牛乳の代わりになる?

牛乳に比べて乳糖が少なく、消化しやすいとされるヤギミルクも選択肢の一つです。 ただし、乳糖がゼロというわけではないため、与える際は少量から試すのが良いでしょう。アレルギーのリスクも牛乳よりは低いとされていますが、個体差はあります。ペット用に販売されている、成分調整済みのヤギミルクを選ぶとより安心です。

どうしても与えたい場合は人肌に温めて少量だけ

猫用ミルクなどが手元になく、どうしても牛乳を与えたい緊急の状況(例えば、衰弱した猫を保護した場合など)では、与え方に注意が必要です。冷蔵庫から出したての冷たい牛乳は、胃腸に負担をかけるため避けましょう。 必ず人肌程度に温め、ごく少量を与えるに留めてください。そして、これはあくまで一時的な措置とし、速やかに猫用ミルクに切り替えることが重要です。

安心安全!猫用ミルクの選び方のポイント

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様々な種類の猫用ミルクが市販されていますが、どれを選べば良いか迷うこともあるでしょう。ここでは、愛猫に最適なミルクを選ぶための3つのポイントをご紹介します。

愛猫の年齢(ライフステージ)に合わせる

猫用ミルクには、子猫用、成猫用、シニア猫用など、年齢に合わせて成分が調整されたものがあります。特に子猫用ミルクは、成長に必要な栄養価が高く作られています。一方、シニア猫用ミルクは、腎臓への負担を考慮してリンやナトリウムが調整されている製品もあります。愛猫の年齢に合った製品を選ぶことが、健康維持の第一歩です。

原材料や成分をしっかり確認する

製品のパッケージ裏にある原材料や成分表示をしっかり確認しましょう。添加物が少ないものや、アレルギーの原因となりうる成分が含まれていないかなどをチェックします。特に、過去に何らかのアレルギー反応を示したことがある猫の場合は、慎重に選ぶ必要があります。品質が信頼できるメーカーの製品を選ぶことも大切です。

迷ったら獣医師に相談するのも有効な手段です

どのミルクを選べば良いか分からない場合や、愛猫に持病がある場合は、かかりつけの獣医師に相談するのが最も確実です。 愛猫の健康状態や体質を考慮した上で、最適な製品をアドバイスしてもらえます。食欲不振時の栄養補給としてミルクを使いたい場合なども、自己判断せずにまずは獣医師の指示を仰ぎましょう。

もしも猫が牛乳を飲んでしまったら?

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目を離したすきに、愛猫が牛乳を飲んでしまった。そんな時でも、慌てず冷静に対処することが大切です。ここでは、万が一の事態に備えた対処法を解説します。

まずは落ち着いて猫の様子を観察しましょう

まずは、猫がどれくらいの量を飲んだかを確認し、その後の様子を注意深く観察してください。 少量をなめた程度であれば、無症状で済む場合もあります。飲んでから最低でも2〜3時間は、下痢や嘔吐、ぐったりしていないか、体を痒がっていないかなど、普段と変わった様子がないかを見守りましょう。

こんな症状が出たらすぐに動物病院へ

以下のような症状が見られた場合は、すぐに動物病院を受診してください。
*   何度も繰り返す激しい下痢や嘔吐
*   ぐったりして元気がない、食欲がない
*   脱水症状(首の皮膚をつまんで離した時に、すぐ元に戻らないなど)
*   皮膚の赤みや発疹、しきりに体を掻く
*   呼吸が速い、苦しそうにしている

特に子猫や高齢の猫は、症状が重篤化しやすいため、少しでも異常を感じたら早めに獣医師の診察を受けることを強く推奨します。

病院で獣医師に伝えるべきこと

動物病院へ行く際は、以下の情報を獣医師に伝えると診察がスムーズになります。
*   いつ、何を、どのくらい飲んだか
*   いつから、どのような症状が出ているか(症状の具体的な様子)
*   可能であれば、嘔吐物や下痢便をラップなどに包んで持参する
正確な情報が、迅速で的確な診断と治療につながります。

牛乳以外の水分補給はどうすればいい?

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猫の健康維持にとって水分補給は非常に重要です。牛乳の代わりに、猫が安全に水分を摂れる方法を知っておきましょう。正しい水分補給は、泌尿器系の病気予防にもつながります。

最も大切なのは新鮮な水をいつでも飲める環境

猫にとって最も理想的な飲み物は、新鮮な水です。 家の中の複数個所に水飲み場を設置し、いつでも好きな時に水が飲める環境を整えてあげましょう。器の素材や形によって猫の好みが分かれることもあるため、陶器製やステンレス製、ガラス製など、愛猫が気に入るものをいくつか試してみるのも良い方法です。また、水をあまり飲まない猫には、流れる水に興味を示すタイプも多いため、循環式の自動給水器を試してみる価値はあります。

食事から水分を摂る工夫も効果的

ドライフードを主食にしている猫は、食事から摂取できる水分量が少ないため、飲水量が特に重要になります。水を飲む量が少ない猫の場合は、ウェットフードを取り入れるのも非常に効果的です。ウェットフードは約80%が水分でできているため、食事をしながら自然に水分補給ができます。ドライフードに少量のぬるま湯をかけたり、鶏のささみの茹で汁(味付けなし)を薄めて与えたりするのも良いでしょう。

まとめ:猫の健康は正しい知識から!牛乳との付き合い方を考えよう

この記事では、猫と牛乳の関係について解説しました。人間用の牛乳は、乳糖不耐症やアレルギーのリスクがあるため、基本的には与えない方が賢明です。 もしミルクを与えたい場合は、必ず乳糖が調整された猫用の製品を選び、愛猫の健康を守ってあげましょう。正しい知識を持つことが、愛猫と長く幸せに暮らすための第一歩です。

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