猫の食事時間はどう決める?適切な回数や与え方の注意点を解説!

猫のご飯って、1日に何回あげたらいいんだろう?」「時間は何時がベストなのかな?」
新しく猫を家族に迎えた方や、愛猫の健康を願うすべての飼い主さんが、一度は考えることではないでしょうか。猫の食事は、その健康を維持し、幸せな毎日を支える基本です。食事の回数や時間は、猫の年齢や体調によっても変わってきます。
この記事では、猫のライフステージに合わせた適切な食事の回数や時間、そして与える際の注意点について、分かりやすく解説します。愛猫に合った食事のリズムを見つけ、健やかな毎日をサポートしてあげましょう。
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猫の食事回数の目安は?ライフステージで変化する

猫にとって最適な食事の回数は、人間と同じように一生同じではありません。消化器官の成熟度や活動量などが変化する「ライフステージ」に合わせて、回数や一回あたりの量を調整してあげることが非常に重要です。ここでは、子猫、成猫、老猫(シニア猫)の3つのステージに分けて、それぞれの食事回数の目安をご紹介します。
ライフステージ | 年齢の目安 | 1日の食事回数の目安 | 特徴 |
子猫 | 生後1年未満 | 3回~4回以上 | 成長期で多くのエネルギーを必要としますが、消化器官が未熟なため、一度に多くを食べられません。 |
成猫 | 1歳~7歳頃 | 2回~3回 | 体の成長が落ち着き、消化機能も安定します。1日に必要なエネルギーを2〜3回に分けて摂取するのが一般的です。 |
老猫(シニア猫) | 7歳以上 | 3回~5回 | 運動量が減り、消化機能が少しずつ低下してきます。一度に食べる量を減らし、回数を増やすことで消化を助けます。 |
生後1年未満の子猫の場合
生後1年未満は、体が急速に成長するとても大切な時期です。骨や筋肉を作るために、成猫の数倍ものエネルギーと栄養を必要とします。しかし、胃が小さく消化能力もまだ十分に発達していないため、一度にたくさんの量を食べることができません。
そのため、1日の食事量を3回から4回、あるいはそれ以上に細かく分けて与え、少量ずつ栄養を摂取できるようにしてあげましょう。特に離乳して間もない時期は、より頻繁な給餌が必要になることもあります。
1歳から7歳頃までの成猫の場合
1歳を過ぎると体の成長は落ち着き、成猫の仲間入りです。消化機能も安定し、子猫の頃ほど頻繁に食事を与える必要はなくなります。多くの成猫にとって、1日に必要なカロリーを朝と夜の2回に分けて与えるのが、最も一般的で理想的なスタイルです。
もちろん、猫の性格や体質、飼い主さんの生活リズムに合わせて、3回に分けても問題ありません。大切なのは、1日のトータルの食事量を守ることです。
7歳以上の老猫(シニア猫)の場合
7歳を過ぎると、猫はシニア期に入ります。見た目は若々しくても、体内では少しずつ変化が起きています。活動量が減って基礎代謝が落ちる一方で、消化機能はだんだんと低下していきます。
一度にたくさんの食事をすると、消化不良を起こしやすくなったり、嘔吐の原因になったりすることもあります。そのため、1回の食事量を減らし、その分回数を3回から5回程度に増やしてあげるのがおすすめです。 これにより、消化器官への負担を軽減し、必要な栄養をしっかりと吸収できるようサポートできます。
猫の食事時間はいつがいい?決める際の3つのポイント

食事の回数と合わせて考えたいのが、「いつ」ごはんをあげるかという時間帯です。毎日決まった時間に食事をすることは、猫の心と体の健康に良い影響を与えます。ここでは、食事時間を決める上で大切にしたい3つのポイントを解説します。
ポイント | 具体的な内容 | なぜ大切か? |
生活リズムに合わせる | 飼い主さんが出勤前や帰宅後など、無理なく続けられる時間を設定します。 | 飼い主さんの負担が少ないことで、毎日継続しやすくなり、猫の食生活も安定します。 |
毎日同じ時間帯に | 「朝は7時、夜は19時」というように、毎日同じ時間に与えることを習慣づけます。 | 猫は体内時計が正確で、決まった時間にご飯がもらえると安心し、精神的なストレスが減ります。 |
寝る直前は避ける | 人間と同じで、食べてすぐ寝ると消化器官に負担がかかりやすくなります。 | 就寝の2〜3時間前までには、最後の食事を済ませるのが理想的です。 |
飼い主の生活リズムに合わせる
猫の食事時間を考える上で最も大切なのは、飼い主さんが無理なく続けられる時間帯に設定することです。 例えば、「朝は7時、夜は19時」のように、ご自身の出勤前や帰宅後の時間に合わせるのが現実的でしょう。
食事の時間を守ろうとするあまり、飼い主さんの生活が過度に制限されてストレスになってしまっては、元も子もありません。継続することが何よりも重要なので、ご自身のライフスタイルに合った時間を見つけてください。
毎日なるべく同じ時間帯に与える
猫は非常に時間に正確な動物です。毎日同じ時間にご飯がもらえると、「この時間になれば、おいしいご飯が食べられる」と学習し、安心して過ごすことができます。食事の時間が不規則だと、次のご飯がいつもらえるか分からず、猫が不安やストレスを感じてしまうことがあります。
きっちり分単位で守る必要はありませんが、「だいたい朝のこの時間」「夜のこの時間」というように、ある程度決まった時間帯にあげることを心がけましょう。これにより、猫の体内リズムが整い、消化もスムーズになります。
寝る直前の時間帯は避けるのがベター
人間でも、寝る直前に食事をすると胃がもたれることがありますよね。これは猫も同じです。食べてすぐに眠ると、消化活動が活発な状態で体を休めることになり、胃腸に負担がかかってしまう可能性があります。
できる限り、飼い主さんが寝る時間の2〜3時間前までには、その日最後の食事を済ませてあげられると理想的です。これにより、猫がリラックスして眠りにつくことができ、消化も負担なく行われます。
なぜ食事の回数を分ける必要があるのか?

1日に1回まとめてあげるのではなく、なぜ複数回に分けることが推奨されるのでしょうか。それには、猫本来の習性や体の仕組みに基づいた、いくつかの大切な理由があります。
理由 | 内容 |
消化器官への負担軽減 | 猫の胃は小さく、一度に多くの食べ物を消化するのが苦手です。小分けにすることで、胃腸への負担を和らげます。 |
空腹ストレスの緩和 | 食事の間隔が長すぎると、猫は強い空腹を感じてストレスになります。こまめに食べることで、心の安定につながります。 |
肥満リスクの低減 | 一度に大量に食べると、血糖値が急上昇しやすく、脂肪を溜め込みやすくなります。回数を分けることで、肥満を予防します。 |
嘔吐の防止 | 極度の空腹状態で急いで食べると、吐き戻しの原因になることがあります。食事回数を増やすことで、早食いを防ぎます。 |
消化器官への負担を軽くするため
猫の祖先は、ネズミなどの小さな獲物を日に何度も狩りをして食べる生活を送っていました。その名残で、猫の体は、少量の食べ物を少しずつ消化・吸収するのに適した作りになっています。一度にたくさんのご飯を食べると、小さな胃や腸に大きな負担がかかり、消化不良や下痢、嘔吐の原因となることがあります。
空腹によるストレスを和らげるため
食事は猫にとって、一日の大きな楽しみの一つです。次の食事までの時間が長すぎると、猫は強い空腹を感じ、それがストレスにつながることがあります。 ストレスを感じた猫は、飼い主さんにしつこく鳴いて催促したり、場合によっては問題行動を起こしたりすることもあります。食事回数を適切に保つことは、猫の心の平穏にもつながるのです。
肥満のリスクを低減するため
1日1回の食事で、一度にたくさんの量を食べると、血糖値が急激に上昇し、インスリンが過剰に分泌されます。これは、エネルギーとして使いきれなかった糖を脂肪として体に蓄えやすくする働きがあり、肥満につながる可能性があります。食事の回数を分けることで、血糖値の急な変動を抑え、太りにくい体質を維持する助けになります。
食後の嘔吐を防ぐため
お腹が空きすぎた状態でご飯を与えると、猫は勢いよく早食いをしてしまいがちです。急いでフードを丸呑みすると、うまく消化できずに吐き戻してしまうことがあります。これは猫にとって珍しいことではありませんが、頻繁に繰り返すと体力を消耗し、栄養不足にもなりかねません。食事の回数を増やして空腹の時間を短くすることで、このような嘔吐を減らす効果が期待できます。
「置き餌」のメリットとデメリットを理解する

飼い主さんの中には、フードを器に常に入れておき、猫が好きな時に食べられるようにする「置き餌」というスタイルを取り入れている方もいるでしょう。この方法にはメリットもありますが、注意すべき点も存在します。両方を正しく理解し、愛猫に合っているか判断することが大切です。
項目 | 内容 |
メリット | ・猫が自分のペースで食べられるため、空腹のストレスが少ない。 ・小食や食べムラのある猫でも、食べたい時に食べられる。 ・飼い主が不在の時間が長くても、食事の心配が少ない。 |
デメリット | ・1日の食事量を正確に把握しにくく、肥満につながりやすい。 ・フードが空気に触れ、風味や鮮度が落ちてしまう。 ・特に夏場は、フードが傷んだり虫が寄ってきたりする衛生面のリスクがある。 ・食欲の低下など、体調変化のサインに気づきにくい。 |
置き餌のメリットとは?
置き餌の最大のメリットは、猫が「お腹が空いた」と感じた時に、いつでも食事をとれることです。これにより、空腹によるストレスを感じにくくなります。また、一度にたくさん食べられない小食な猫や、気分によって食べる量が変わる「食べムラ」のある猫にとっては、自分のペースで食事ができるという利点があります。飼い主さんの外出時間が長い場合でも、猫が空腹で過ごす時間をなくすこともできます。
置き餌のデメリットと注意点
一方で、置き餌にはいくつかのデメリットがあります。最も注意したいのが、食事量の管理が難しい点です。猫が食べた分だけフードを足していると、1日にどれくらいの量を食べたのか分からなくなり、気づかないうちにカロリーオーバーになって肥満を招くことがあります。
また、ドライフードであっても長時間空気に触れると、風味が落ちて猫の食いつきが悪くなったり、湿気で品質が劣化したりします。特に、気温と湿度が高い夏場はフードが傷みやすく、衛生的にも問題が生じる可能性があります。さらに、常にフードがある状態だと、食欲不振といった病気の初期サインに気づきにくくなるという側面も忘れてはいけません。
猫がご飯をしつこく催促する時の対処法

「ご飯の時間までまだあるのに、足元にまとわりついて鳴き続ける…」そんな経験はありませんか?愛猫からの可愛いおねだりも、度を越すと困ってしまいます。ここでは、上手な対処法を2つご紹介します。
対処法 | ポイント |
要求に応じすぎない | 催促されるたびにご飯やおやつをあげると、「鳴けばもらえる」と学習してしまいます。心を鬼にして、決まった時間まで待たせましょう。 |
食事以外のコミュニケーション | 「お腹が空いた」のではなく、「構ってほしい」というサインの場合もあります。おもちゃで遊んだり、撫でてあげたりして、気を紛らわしてあげましょう。 |
要求にすぐ応じないことが大切です
猫が催促するたびにフードを与えていると、「鳴けばご飯が出てくる」と猫は学習してしまいます。その結果、要求行動がどんどんエスカレートしていく可能性があります。かわいそうに感じるかもしれませんが、食事の時間や1日の量は愛猫の健康のために飼い主さんが管理してあげるべきものです。心を鬼にして、決まった時間になるまでは毅然とした態度で接することが、長い目で見れば猫のためになります。
食事以外のコミュニケーションを増やしましょう
猫が鳴いて催促するのは、必ずしも空腹だけが理由ではありません。「退屈だから構ってほしい」「飼い主さんの気を引きたい」という気持ちの表れであることも多いです。そんな時は、お気に入りのおもちゃで遊んであげたり、優しく撫でてあげたりして、食事以外の方法で愛情を伝えてみましょう。猫の満足感が高まり、食事への執着が和らぐことがあります。
まとめ:愛猫に合った食事のリズムを見つけましょう
猫の食事の回数や時間は、愛猫の健康を支えるための大切な要素です。ライフステージに合わせて回数を調整し、飼い主さんの生活リズムの中で続けられる、決まった時間に与えることが基本となります。
今回ご紹介した内容を参考に、ぜひご自身の愛猫にぴったりな食事スタイルを見つけてあげてください。飼い主さんが食事を正しく管理することが、愛猫が健康で幸せな毎日を送るための第一歩となるでしょう。量を守りつつ、愛猫の様子をよく観察しながら最適な食事スタイルを見つけてあげてください。適切な食事管理は、愛猫が長く健康で過ごすための、飼い主からの最高のプレゼントです。
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