猫のごはんの回数は1日何回が正解?子猫・成猫・老猫の年齢別に最適な与え方を解説します

愛猫が毎日美味しそうにごはんを食べる姿は、飼い主にとって何よりの喜びですよね。しかし、その一方で「ごはんの回数って、1日に何回がベストなんだろう?」「もっと欲しがるけど、あげすぎていないかな?」と不安に思うことはありませんか。特に、新しく猫を迎え入れた方や、愛猫が成長して年齢を重ねてきたタイミングで、食事管理に悩む方は少なくありません。
猫の食事回数は、健康を維持する上で非常に重要な要素です。この記事では、猫の年齢(ライフステージ)に合わせた最適な食事回数から、置き餌のメリット・デメリット、回数を変更する際の具体的な手順まで、分かりやすく解説していきます。あなたの愛猫にぴったりの食事スタイルを見つけるお手伝いができれば幸いです。
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猫の食事回数を決める基本!なぜ年齢で回数が変わるの?

猫のごはんの回数を考えるとき、なぜ一律ではなく年齢によって変える必要があるのでしょうか。その理由は、猫が本来持っている習性と、年齢による体の変化に関係しています。まずは、回数を決める上で知っておきたい基本のポイントを見ていきましょう。
野生時代の名残?猫の食事スタイルの特徴
猫の祖先は、野生で狩りをして暮らす肉食動物でした。ネズミや小鳥などの小さな獲物を1日に何度も捕らえて食べるという生活スタイルだったため、一度に大量に食べるのではなく、少ない量を何回にも分けて食べる「少量頻回」が本来の習性です。
その名残から、現代の猫たちも一度にドカ食いするのはあまり得意ではありません。この猫本来の習性を理解しておくことが、適切な食事回数を考える上での第一歩となります。
ライフステージ(年齢)で消化能力が変わるため
猫の食事回数を変えるべき最も大きな理由は、子猫、成猫、老猫(シニア猫)というライフステージによって、体の大きさや消化器官の能力が異なるためです。
ライフステージ | 体・消化器官の特徴 | 食事回数の考え方 |
子猫 | 体が小さく胃も小さい。一度にたくさん食べられない。 | 少量頻回(1日に多くの回数) |
成猫 | 体の成長が止まり、消化能力が安定する。 | 1日の中でリズムを作りやすい。 |
老猫 | 消化機能が衰え始め、一度に消化できる量が減る。 | 再び少量頻回に戻すことが推奨される。 |
このように、成長段階や体の変化に合わせて食事の回数を調整してあげることが、猫の消化器官への負担を減らし、健康を維持するために不可欠なのです。
【年齢別】猫の適切なごはんの回数と1日の給与量目安

それでは、具体的に年齢ごとに何回の食事が適切なのでしょうか。ここでは「子猫」「成猫」「老猫」の3つのステージに分けて、食事回数の目安と与え方のポイントを解説します。
子猫(〜1歳):1日3〜4回以上に分けてこまめに
急成長期の子猫は、体の大きさに対して非常に多くのエネルギーと栄養を必要とします。しかし、胃が小さく消化能力も未熟なため、一度にたくさんの量を食べることができません。
そのため、1日に必要な食事量を3〜4回、あるいはそれ以上に細かく分けて、こまめに与えるのが理想です。生後半年くらいまでは特に回数を多めにし、成長とともに徐々に回数を減らしていくと良いでしょう。
月齢目安 | 1日の食事回数 目安 | ポイント |
離乳後〜4ヶ月 | 4〜5回 | 消化しやすく栄養価の高い子猫用フードを与える。 |
5ヶ月〜9ヶ月 | 3〜4回 | 体重の増加を観察しながら回数を調整する。 |
10ヶ月〜12ヶ月 | 2〜3回 | 成猫の食事回数へ移行していく準備期間。 |
成猫(1〜7歳):1日2〜3回が基本
体が完成し、エネルギー消費も安定してくる成猫期は、1日2〜3回の食事が一般的です。多くの飼い主さんは、朝と夜の2回に分けて与えています。
飼い主さんのライフスタイルに合わせて、毎日決まった時間に与えることが大切です。食事の時間を決めることで、猫の生活リズムが整い、空腹によるストレスの軽減や、食事量の管理がしやすくなるというメリットがあります。一気食いして吐き戻してしまうような場合は、1回の量を減らして回数を3回に増やすなどの工夫をしてみましょう。
老猫(7歳〜):1日3回以上に分けて負担を軽減
7歳を過ぎたあたりから、猫はシニア期に入ります。見た目には変化がなくても、徐々に運動量が減り、消化機能も衰え始めます。一度に多くの量を食べると消化器に負担がかかったり、吐き戻しの原因になったりすることがあります。
そのため、成猫期よりも1回の食事量を減らし、その分回数を増やして1日3回以上にするのがおすすめです。食事の間隔を短くすることで、消化を助け、必要な栄養をしっかり吸収できるようサポートしてあげましょう。
猫のごはんの回数を決める前に確認したい注意点

愛猫に合った食事回数を見つけるためには、回数だけでなく、いくつかの重要なポイントを併せて考える必要があります。ここでは、特に注意したい3つの点について解説します。
1日の適切な給与量を守ることが大前提
食事の回数を考える上で最も大切なのは、「1日に必要な総合的なカロリー(給与量)を守る」ことです。回数を増やしたからといって、1回あたりの量をそのままにしてしまうと、カロリーオーバーで肥満の原因になります。
必ずキャットフードのパッケージに記載されている「給与量」を確認し、その量を1日の食事回数で割って、1回あたりの量を算出してください。これが食事管理の基本中の基本です。
項目 | 説明 |
1日の総給与量 | フードのパッケージに記載。猫の体重や年齢を参考にする。 |
食事回数 | 1日にごはんを与える回数(例:3回)。 |
1回あたりの量 | 「1日の総給与量 ÷ 食事回数」で計算する。 |
猫の種類や体格・運動量を考慮する
パッケージの給与量はあくまでも平均的な目安です。同じ年齢・体重の猫でも、猫種による骨格の違いや、個々の運動量によって必要とするエネルギー量は変わってきます。
例えば、活発でよく運動する猫と、室内で静かに過ごすことが多い猫とでは、消費カロリーが異なります。愛猫の体型(BCS:ボディ・コンディション・スコア)を定期的にチェックし、太り気味なら量を少し減らす、痩せ気味なら少し増やすなど、個体に合わせた調整が重要です。
病気や体調に不安がある場合は獣医師に相談する
もし愛猫が特定の病気(腎臓病、糖尿病、消化器疾患など)を患っている場合や、食欲不振、嘔吐、下痢といった体調不良が見られる場合は、自己判断で食事内容や回数を変更せず、必ずかかりつけの獣医師に相談してください。
病気の種類によっては、特別な療法食や、厳密な食事管理が必要になるケースがあります。専門家のアドバイスのもと、その子にとって最も安全で効果的な食事プランを立てることが、健康を守る上で何よりも大切です。
「置き餌」はしてもいい?メリット・デメリットを徹底解説

決まった時間に食事を与えるのではなく、常にフードボウルにごはんを入れておく「置き餌」。この方法は手軽ですが、果たして猫にとって良いのでしょうか。ここでは、置き餌のメリットとデメリットの両面を解説します。
置き餌のメリット:猫の好きなタイミングで食べられる
置き餌の最大のメリットは、猫が「お腹が空いた」と感じた時に、自分の好きなタイミングで食事をとれることです。これは、少量頻回で食べる猫本来の習性に合っていると言えます。
また、飼い主さんが長時間家を空ける場合でも、猫が空腹で過ごす時間をなくせるという利点もあります。食が細く、一度にたくさん食べられない猫にとっては、自分のペースで食べられる安心感につながることもあります。
置き餌のデメリット:食事管理が難しく健康リスクも
一方で、置き餌には多くのデメリットと健康上のリスクが伴います。特に多頭飼いの場合は、どの猫がどれだけ食べたか把握できず、食事量の管理が非常に困難になります。
デメリット・リスク | 具体的な内容 |
健康管理が難しい | 食べた量が分からず、食欲不振などの体調変化に気づきにくい。 |
肥満のリスク | つい食べ過ぎてしまい、肥満につながりやすい。 |
フードの劣化 | フードが空気に触れ続け、風味や品質が落ちる。特に夏場は腐敗や虫の発生も心配。 |
ウェットフードに不向き | 水分量の多いウェットフードは傷みやすく、置き餌には絶対に向かない。 |
これらのデメリットを考慮すると、愛猫の健康を第一に考えるのであれば、置き餌はなるべく避け、時間を決めて食事を与える方法が推奨されます。
猫の食事回数をスムーズに変更するための手順

成猫になって置き餌から時間給餌に切り替えたい、老猫になってきたので回数を増やしたい、といった理由で食事回数を変更する際は、猫にストレスを与えないよう、ゆっくりと進めることが大切です。
手順1:1〜2週間かけてゆっくり慣らす
猫は環境の変化に敏感な動物です。食事のルールが急に変わると、戸惑いやストレスからごはんを食べてくれなくなることもあります。
回数を変更する際は、いきなり変えるのではなく、1〜2週間ほどの移行期間を設けましょう。例えば、置き餌から1日2回食に変更する場合は、まず日中の置き餌をやめ、朝と夜だけフードを出すことから始めます。徐々に時間を決めていくことで、猫も新しいリズムに慣れやすくなります。
手順2:新しい食事のリズムを作る
食事の時間を新しく決めたら、できるだけ毎日同じ時間にごはんを出すように心がけましょう。「この時間になればごはんがもらえる」と猫が学習することで、無駄に食事を催促することが減り、生活リズムが整います。
また、食事を出して20〜30分経っても食べない場合は、一度食器を片付けるようにします。こうすることで、出された時に食べるという習慣が身につきやすくなります。
手順3:食べない時は無理強いしない
新しい食事スタイルに慣れず、初めのうちはなかなか食べてくれないこともあるかもしれません。そんな時でも、無理強いしたり、大声で叱ったりするのは絶対にやめましょう。猫にとって食事が嫌な時間になってしまいます。
食欲がないように見える場合は、フードを少し温めて香りを立たせたり、ウェットフードを少しトッピングしたりして、興味を引く工夫をしてみるのも良い方法です。それでも数日にわたって食事をとらない場合は、体調不良の可能性も考えられるため、獣医師に相談してください。
ごはんの回数以外も大切!愛猫の食事環境のポイント

適切な回数と量のごはんを用意しても、食事をする環境が悪ければ、猫は安心してごはんを食べることができません。最後に、快適な食事時間のために整えてあげたい環境のポイントを3つご紹介します。
静かで安心できる食事場所を用意する
猫はとても警戒心が強い動物です。食事中は無防備になるため、人の出入りが激しい場所や、大きな物音がする場所は食事場所に不向きです。部屋の隅など、猫が落ち着いて食事に集中できる静かな場所を選んであげましょう。
また、嗅覚が優れているため、トイレの近くにごはんを置くのは避けるべきです。猫にとって、食事場所とトイレは全く別のものと認識させてあげることが大切です。
清潔な食器で高さを工夫する
食器は毎回きれいに洗い、清潔な状態を保ちましょう。汚れた食器は雑菌が繁殖し、健康を害する原因になります。
また、食器の高さもポイントです。床に直接置くと、猫は頭を低く下げて食べなければならず、首や関節に負担がかかったり、吐き戻しの原因になったりすることがあります。少し高さのある台座付きの食器を用意してあげると、自然な姿勢で楽に食べられるようになります。
新鮮な水をいつでも飲めるようにする
食事と同じくらい、水分補給は猫の健康にとって非常に重要です。特にドライフードを主食にしている場合は、食事以外でしっかりと水分を摂る必要があります。
新鮮な水をいつでも好きなだけ飲めるように、複数の場所に水飲みボウルを設置してあげましょう。ごはんの場所のすぐ隣ではなく、少し離れた場所に置くことを好む猫も多いです。
まとめ:愛猫に合った食事回数を見つけて健康な毎日を
猫の適切な食事回数は、年齢や健康状態によって変化します。子猫期は消化の良い食事を少量頻回で、成猫期は生活リズムに合わせて1日2〜3回、そして老猫期には再び消化器に優しい少量頻回の食事へと見直してあげることが大切です。
今回ご紹介した内容を参考に、1日の給与量を守りつつ、愛猫の様子をよく観察しながら最適な食事スタイルを見つけてあげてください。適切な食事管理は、愛猫が長く健康で過ごすための、飼い主からの最高のプレゼントです。
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