保護猫ってどんな猫?
2025.08.04
2025.08.04

子猫の保護依頼。現場で起きていた想定外の事とは

Y20250804N1

高齢や生活の困窮により、これまで飼っていた猫や犬を飼い続けることができないという相談が、近年ますます増えています。
今回、ピースニャンコのチームメンバーである「Hugku-Me」の牛島さんが訪問したのは、「生活が苦しくなり、猫を飼い続けることができない」と話すご高齢の方のお宅でした。
部屋には複数の猫が暮らしていましたが、依頼者は正確な数も把握しておらず、掃除が行き届いていない環境で、猫たちは皆風邪をひいていました。

Y20250804N2


保護の依頼があった子猫2匹も重い風邪のため目が膿でふさがり、開けられない状態。「外には一切出していないから」という理由で猫たちは病院にかかったことがなく、避妊・去勢がされていないオスとメスが同じ部屋で暮らしており、妊娠中の猫もいます。

部屋で猫たちの状況を確認していると庭から子猫の鳴き声が聞こえてきました。
依頼主によると、庭には外猫が住みついて、そこで子猫が生まれているらしいとのことです。

Y20250804N3 1


外にいた子猫たちは医療が必要な可能性も高く、全員を捕獲ししました。子猫たちは生後1か月くらいで中には目が塞がってしまっている子もいます。

保護した子猫たちの状態を確認していると、母猫が心配そうに戻ってきました。子猫を取り上げてしまうと、母猫はすぐに妊娠可能な体になってしまうため、母猫にも避妊手術が必要です。

Y20250804N4


最初は子猫2匹の保護依頼でしたが、結果的に家の中で生まれた子猫2匹、少し大きな子猫1匹、庭で保護した子猫6匹、あわせて9匹を保護することになりました。

そして妊娠している猫。そのお腹にいる子猫たちをどうするのか——牛島さんに重すぎる決断がのしかかります。通常、1回に生まれる子猫は5~6匹。生まれてからかかるお金と時間。でも生まれる前の命はすぐそこにいます。

Y20250804N5

保護した子猫9匹はすぐに病院へ連れていき、血液検査とワクチン接種を行いました。

数日後、外で保護した子猫たちは回復しましたが、家の中にいた子猫たちは症状が重く、目は開いたものの完全には治りませんでした。外の母猫は捕獲し、避妊手術を受行いました。

一方、家の中で妊娠していた猫たちは、検査の結果白血病にかかっていることが判明。感染の可能性がある子猫が生まれた場合、長く生きることは難しいという現実もあり、やむなく堕胎を選択しました。

「産ませないことも、大切な命を守る手段のひとつです」と牛島さんは語ります。

正解のないレスキューの現場で、同じようなケースが今も増え続けています。「人の福祉だけ」、「動物の保護だけ」では解決できない問題です。だからこそ、私たち一人ひとりが「その時」のために、考え、行動することが求められています。

高齢や健康上の理由から、猫を飼い続けられなくなる――そんなケースが、近年ますます増えています。ピースニャンコの動画でも何度かご紹介していますが、こうした現場では、飼い主だけでなく、保護する側、そして猫たちも苦しい状況に置かれてしまいます。

猫の数が思った以上に増えてしまうと、気づいた時には悲惨な事態を招くこともあります。そうならないために大切なのは、「猫が増えていかない環境」をあらかじめ整えること。そして、周囲の変化にも目を向けておくことです。

「その時」は、誰にでも訪れるかもしれません。備えておくことが、猫たちの未来を守る一歩になります。


ジャーナル一覧へ戻る

Follow us

  • InstagramInstagram
  • YoutubeYoutube

人気ランキング

人気ランキング一覧

SUPPORTご支援のお願い

ピースニャンコの活動を継続的に支援してくださるサポーターを募集中です。1匹でも多くの命を救うため、ご支援のご協力をお願いいたします。
ご自身にあった方法でご検討ください。ピースニャンコの運営団体、特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン(認定NPO)へのご寄付は、
寄付金控除など税制優遇の対象となります。

CONTACTお問い合わせ

問い合わせる